SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

規子と哲樹の、おしえて!ミッションクリティカル

データの賞味期限の調整乞う

 暑い日が続きますね。こんなときは、気分だけでも涼しくなるような話が聞きたいものです。たとえば、冷蔵庫から何か変な臭いがするので、思い切って中に入っている食料品を全部整理してみたら、一番奥から賞味期限が3年前に切れてドロドロになったサムシングを発見……ひえー、さぶっ!!でもね。賞味期限が大事なのは、何も食料品だけじゃないんです。実は、データベースに保管するデータにだって、賞味期限があるんです。ひょっとしたら、皆さんが管理するデータベースの奥にも、賞味期限がとっくに切れて、フワッフワのカビもしくはドロドロになって異臭を放っているデータが眠ってるかもしれませんよ……。

データの「賞味期限」を意識したデータベース運用とは?

吉村 突然ですけど、子どものころランドセルの奥から思わぬものを発見して、ぎょっとしたことはありません? たとえば、給食で残したパンの切れ端をランドセルの中に隠していたのを忘れてて、1カ月後にカビだらけになって発掘されたりとか。

長江 親に渡しそびれた古いプリントが出てきて焦ったことなら……

吉村 あるある! パンもプリントも、賞味期限が切れてるのにランドセルに入れっ放しにしてると、ろくなことないんですよねえ。この連載を読んでるよい子のみんなは真似しないようにネ!

長江 よい子のみんなはこの連載読んでないとおもいます。でも、ミッションクリティカルなデータベースに保管しておくデータも、給食のパンやプリントと同じく賞味期限が大事なんです。

吉村 え、ランドセルの話からデータベースにつなげるんですか?ちょっと強引では。

長江 あなたがつなげたんでしょうが。

吉村 そうでした。

長江 ミッションクリティカルなデータベースは、小学生にとってのランドセルと同じぐらい大事なものだということです。

吉村 ドヤ顔で。

長江 横着なデータベース管理者は、カビの生えたパンやくしゃくしゃになった古いプリントのような、賞味期限の切れた古いデータを、いつまで経ってもデータベースに溜め込みがちです。

吉村 データの賞味期限ですか……データは腐ったりカビ生えたりしないしなあ。なんか賞味期限と言われてもピンと来ないっす。

長江 データベースを構築したり管理する人は、「データはあくまでもデータ」と、すべてのデータを一緒くたにして捉えがちですよね。でも、実際にデータを処理して業務を行なうユーザーにとっては、時間が経つごとにデータの鮮度と価値が落ちていくというのはごく当たり前のことです。

吉村 まあ、何となくは分かります。

長江 特に基幹系システムはそうですよね。システムに入ってきた販売データや在庫データは、なるべく早く処理して日々の仕事で活用したいですよね。でも、既に処理してしまった古いデータは、とっておいてもほとんど使われることはありませんから、一定期間が過ぎたら捨てるのが通常です。ところが、データベースの設計時に「データの捨てやすさ」を考慮しておかないと、得てして無駄なデータがどんどん溜まりやすくなってしまうんです。

吉村 まさに「ランドセルの奥のパン」ですね。でもデータは、腐ったりカビが生えたり虫がわいたり紫色に変色したり原型をとどめないほどドロドロになったり吐き気を催すほどの悪臭を放ったりしないから、とりあえずとっておいてもいいんじゃないですか?

長江 そこまで細かく描写してくれなくてもいいんですが……でも無駄なデータを溜め込んでおくと、データベースを運用していく上でさまざまな弊害が出てくるんです。一番分かりやすいのが、ディスク領域を無駄に占有して余計なお金が掛かることですね。またデータの検索処理も、無駄なデータがあるとその分時間がかかってしまいます。インデックスの再構築や、前回紹介したデータベースの再編成といった処理も、無駄なデータがあると時間がかかりますね。夜間バッチの処理時間が徐々に長くなっていって、決められた時間内に終わらなくなってしまうのも、多くはデータの増えすぎが原因です。

吉村 ということは、賞味期限が切れたデータはどんどん捨てた方がいいと。

長江 基本的にはそういうことです。ただ、言葉で言うのは簡単ですが、データを捨てる運用って結構難しいんですよ。まずは、各データの適切な賞味期限を見定めなくてはいけません。

吉村 生ものなのか。それとも保存が効くものなのか。

長江 食料品でいうと、そういうことです。ただしデータの場合、データそのものだけに着目しても賞味期限は分かりません。そのデータが「どういう業務で」「どう使われるか」かによって、賞味期限が決まってくるのです。例えば、基幹系システムで料金計算を行うために使う料金データは、恐らく3カ月分も保存しておけば十分でしょう。しかし、過去の売上げ動向を分析するための情報系システムでは、過去データを何年分か保存しておく必要があるでしょう。

吉村 なるほど。まずは業務をきちんと理解した上で、そこで使われる各データの賞味期限を見極めていくわけですね。

次のページ
ミッションクリティカルな合コンにおいても「○○の賞味期限」が大事!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
規子と哲樹の、おしえて!ミッションクリティカル連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/7137 2015/08/31 06:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング