不正侵入を許してしまう、大きな要因のひとつが「脆弱性」
2015年は日本でも多くの組織がサイバー攻撃の対象となり、記憶に新しいところでは日本年金機構の情報漏洩はセキュリティ関係者でなくとも知るところとなる大きな問題としてニュースになりました。
その後も多くの組織に対する不正侵入が報告され、実際に情報漏洩などの被害が発覚するケースが後を絶ちません。
個人情報保護法が適用される個人情報取扱事業者が、ひとたびシステムへの侵入を許して情報漏洩を起こせば法的問題に発展する可能性があり、信用の回復までにかかる費用は計り知れません。組織であれば何らかの個人情報を有しているはずですので、日頃から対策を心がけることが重要です。
では、個人情報の漏洩がなければ問題はないのでしょうか。実はそうとも言えません。攻撃者が求めるものが個人情報以外の重要な情報であったり、他の組織へ侵入するための足がかりとして侵入することもあり得ます。
例えば、Webサーバに侵入しプログラムを埋め込むことで、そこにアクセスしてきた別のターゲットのクライアントにマルウエアをインストールしたり、そのマルウエアを操作するための中継センターにすることができるのです。
Webサーバが国内のサーバでかつ安全と思われているドメインであれば、マルウエアが通信しているサーバが不正な通信かどうかは容易には判断ができなくなります。
このように侵入を許し被害が発生するまで気づかないでいることは、攻撃の対象となった組織のみならず、多くのユーザや企業を危険にさらす要因となるため、その責任も心得て対応を行っていかなければなりません。この不正侵入を許してしまう大きな要因のひとつが「脆弱性」なのです。