マイクロソフトはSQL Serverを活用してデータカルチャーを醸成するためにパートナー施策を強化
これは、ビッグデータやIoTなどが話題の中心になりがちだが、大量なデータがあることやあらゆるものがつながること以上に、データをいかにして活用しビジネスプロセスなどを効率化できるかこそが重要だという指摘でもある。つまり主役はビッグデータやIoTではなく「データ」そのものだということ。「データがビジネスを動かす原動力になる」と佐藤氏。そのためにデータカルチャーを企業に定着させる必要があるわけだ。
データを活用する話自体は、10年ほど前にBIに注目が集まった時にも出てきた話題だ。逆に考えると、いまだデータを活用し切れていないことになる。これは当時からどうやってデータを扱うかばかりを考えがちだが、データをどう扱えばビジネスを動かすことができるのかのほうが重要なことになかなか気付かないとのことでもあるだろう。
佐藤氏によれば、SQL Server 2016の発表以降、データをどう扱えばビジネスを動かせるようになるか、そのためのさまざまな施策を実施している。単純にSQL Serverの新機能を解説するのではなく、新機能を使うと何が変わり、その結果ビジネスプロセスにどう影響を及ぼせるのかを伝えるのだ。そのために、パートナー向けの提案コンテストも開催している。
実際にSQL Server 2016のトレーニングをパートナー向けに盛んに行っており、ビジネス現場の営業やフィールドSEに積極的にアプローチしているようだ。その結果として、営業で87%、SEでは95%がSQL Serverを新たに提案したくなったとの声があったそうだ。
データベース製品同士の機能比較を行う時代はそろそろ終わりを告げつつあるのかもしれない。それぞれの機能を活用すると今までと何が変わり、それがビジネスにどのようなメリットを生み出せるのか。それを提案できるかどうかが、今後のデータベースを扱うSEの強みになる。そして、SEが提案する際に活用したいと思わせるようなデータベースシステムになっているかどうかが、製品としての優位性になるのだろう。
ところで、4月の製品発表時にはOracle Databaseからの乗り換えプログラムなどが目立っていた。これはまあ、ある意味「飛び道具」のようなもの。出だしの勢いはつけることができたとしても、それで市場での製品評価が決まるわけではない。それよりも顧客のもとに届けられる具体的な形となる「SQL Server 2016 SSD Appliance」のラインナップが充実してきたり、プライベートクラウド環境でSQL Serverを利用するためのホスティングパートナーのビジネスが伸びてきたりするほうが、SQL Server 2016がビジネスを動かす原動力になるだろう。ちなみに、Oracle Databaseからの乗り換えプログラムの進捗は順調で、かなりの数のプロジェクトが発生しているとのこと。
マイクロソフトでは、SQL Server 2016を核にしたデータ活用提案を強化すべく、パートナーのサポートにさらに力を入れる。実際に提案を行うのはパートナーなので、ここの強化は当然の施策だ。そのために、パートナーコールセンターも新たに整備。これはパートナーの企業支援窓口をワンストップサービスとして提供するもので、7月8日から専用のフリーダイヤル電話を用意する。こういった試みが、ナンセンスな○×表比較の世界から抜け出し、ビジネスを動かすデータ活用の提案に確実につながっていけば、自ずとSQL Serverのビジネスは成長することになるだろう。