高まるコンサルタントへの期待
内部統制コンサルタントの活用を決定した上場会社は、内部統制コンサルタントに何を期待しているのだろうか。この質問に答えられない場合は、内部統制コンサルタントを有効に活用できない可能性が高い。
内部統制を理解した、会社内の業務などにもくわしい人材がいれば、内部統制の整備を非常に効率的に行える。内部統制を理解した、会社内の人間が、内部統制プロジェクトメンバーとして適切ということだ。ただし、内部統制プロジェクトに関与できる社内の人材には制限があるので、各上場会社は内部統制コンサルタントの活用を検討することが多い。
対応期限があり、内部統制コンサルタントも不足している中、じっくりと内部統制コンサルタントを選定できないと考える上場会社もあると思う。しかし、対応期間が限られているため、内部統制コンサルタントの選定ミスが、致命傷となりかねない。内部統制コンサルタントを選定する際の基準を設け、しっかりと内部統制コンサルタントを選定したい。
会社として何をすべきか
効率的に内部統制プロジェクトを進めるためには、メンバーが十分に能力を発揮できるプロジェクト体制を作るべきだ。内部統制コンサルタントも含めた内部統制プロジェクトの推進では、まず次のことを実施したい。
第一に、経営者が内部統制について十分に理解し、内部統制プロジェクトに関与する。
第二に、適切なプロジェクトリーダーを選任する。日本版SOX法が要求する内部統制が理解でき、論理的で、折衝力のある人物をあてるべきだ。
第三に、内部統制コンサルタントなど外部人材を適切に活用する。
内部統制コンサルタントを活用する際は、実施基準、書籍などで、内部統制プロジェクトで必要となる作業を洗い出す。次に、作業を、会社内のリソースでできる作業、内部統制コンサルタントなど外部の人材が必要となる作業に分類する。こうして、内部統制コンサルタントに期待する役割を整理する。
すでにプロジェクトをはじめている会社も、開始当初に十分にプロジェクト作業が整理できていなければ、今からでもよいのでプロジェクト作業が適切かを見直したい。
実際に内部統制コンサルタントなどを選定する場合は、内部統制コンサルタントは要求する能力・知識を有しているか、経験があるか、プロジェクトへの関与時間が十分に確保できるか、などを確認すべきである。
内部統制プロジェクトの主要作業は、内部統制の整備とそれを評価するための手順などを策定し、それらを文書化することである。成果物として膨大な量のマニュアルや業務フローなどを作成するため、文書化作業が注目されている。文書化に重点を置き、内部統制コンサルタントを選定する上場会社もあると思う。ただ、内部統制コンサルタント選定時は、他にも存在する内部統制作業を忘れてはならない。