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週刊DBオンライン 谷川耕一

SaaSのSalesforceとIaaSのAWSがPaaSを仲立ちに手を結ぶ

 ここ最近で業界を大いに騒がせたのは、Twitterの買収報道だろう。買収価格は2兆円とも言われ、買い手としてはグーグルの持ち株会社アルファベットやウォルト・ディズニー、アップルなどの名前が挙がっていた。とはいえ、彼らは次々と買収から手を引いたとの報道が。その後も最後まで残っていたのが、SaaSのトップベンダーSalesforce.comだった。SalesforceがTwitterを取り込むとどんなシナジーが発生するのか。個人的にはメリットよりも、Twitterという莫大なユーザーを抱えるソーシャルネットワークの仕組みを運用する苦労のほうが多そうだなと思っていた。まあ結局のところSalesforceも買収からは手を引き、Twitterの株価は急激に下がってしまうという事態に。

AWSベースのPaaSであるHerokuを軸に国内で新たな協業体制を構築

 さら国内を見てみると、Twitterの買収ほどインパクトはないものの、先週あったAmazon Web Services(AWS)とSalesforceの提携の話題はなかなか興味深い発表だった。すでに米国では、SalesforceがクラウドサービスのインフラでAWSを活用するとの協業発表を行っている。今回の提携はそういった本社の動きを受け、日本独自の取り組みとして行われるものだ。

 「ビッグデータやデバイスからの情報を扱うところはAWSで、フロントのアプリケーションの部分をSalesforceで、そして開発はAWSベースのHerokuでというのが、今回の協業で実現する構成の基本的な形です」と説明するのは、セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクターの御代茂樹氏だ。

セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアディレクター 御代茂樹氏
セールスフォース・ドットコム
マーケティング本部 プロダクトマーケティング
シニアディレクター 御代茂樹氏

 これまでは、ばらばらに双方のクラウドを顧客に提供してきた。一方を利用する顧客がもう一方のサービスを合わせて利用すればさらに便利になる。そういう状況があったとしても、双方を組み合わせた提案をするには至っていなかったのだ。それを協力してやっていこうというのが、今回提携を行うきっかけの1つとなっている。

セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 アライアンス本部 本部長 手島主税氏

セールスフォース・ドットコム
常務執行役員 アライアンス本部
本部長 手島主税氏

 「クラウド上で業務アプリケーションからIoTに至る仕組み全体を設計できるようなパートナーを紹介して欲しいとの顧客ニーズがある。AWSと一緒にやるのは、今回が初めての取り組みです。今はスピードが求められています。いち早く顧客のニーズに対応するには、我々自身が変わる必要あると考えました」と語るのは、セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 アライアンス本部 本部長の手島主税氏。

 AWSのパートナー アライアンス本部 本部長 今野芳弘氏も、「ここ最近はエンタープライズ企業の引き合い、IoTを実現したいとのニーズが増えている」と言う。そういった中で、それらを担えるパートナーが重要だと指摘。AWSではパートナーのエコシステムを重要視しており、それが充実していることが同社の強味だ。このパートナーからの提案力を強化するために、今回Salesforceと協業する。

AWSのパートナー アライアンス本部 本部長 今野芳弘氏

AWS パートナー アライアンス本部
本部長 今野芳弘氏

 今回の協業でまず強化するのは、エンジニアとの接点のところだ。そして、両社のパートナーを取り込むエコシステムの拡大にも取り組む。さらには双方が関わるPaaSの拡大もある。これらを実現するために4つの具体策を示した。1つ目が、リファレンスアーキテクチャを開発するための、両社エンジニアによるクラウドデザインセンター(CDC)の設置だ。2つ目が両者のクラウドサービスを活用するベストプラクティスを両社のパートナーエコシステムに展開すること。3つ目はAWSをベースとしているSalesforceのPaaSであるHerokuを軸とした営業協力。そして4つ目が、これらを促進するための協働マーケティング施策の実施だ。

 Salesforceでは、Herokuだけでなく最近もっとも力を入れているAI機能のEinsteinについても、AWSを使って動かしている。こういった協業の発表以外の部分でも、すでにAWSを活用する動きがSalesforceでは順次始まっているというわけだ。

次のページ
SalesforceとAWSのパートナー文化の違いを吸収できるか

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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