ホンダを退任し、アマネク・テレマティクスデザインのCEOに
ホンダのテレマティクスについての記事を覚えておいでだろうか。自然災害発生時にカーナビの走行履歴から走行可能な道路を割り出したり、クルマの加速減速などのセンサーデータを集約して地域の安全に役立てたり、カーナビへ現在地に基づく交通情報や気象情報など有用なデータを配信するなどが可能になってきたという話だ。(参考記事:「“テレマティクス”でクルマと社会をつなぐ-ビッグデータを活用したホンダの挑戦」)
記事に登場した今井武氏は2015年にホンダを任期満了で退任し、アマネク・テレマティクスデザインの代表取締役CEOに就任。現在はデジタルラジオ放送「i-dio」のドライバー向けチャンネル「Amanekチャンネル」に取り組んでいる。
本論に入る前に東日本大震災を少し振り返っておきたい。今井氏は「あの時、道は圏外でした」と言う。ホンダのカーナビ「インターナビ」では現在地周辺の気象情報を受信できるようになっていた。2011年の東日本大震災でも、インターナビのサーバーは地震情報や大津波警報を被災地のカーナビに向けて発信していた。ところが実際には届いていなかった。なぜなら情報受信にはキャリアの通信を使うため、震災直後は通信で輻輳が発生してカーナビが「圏外」で通信不能となっていたためだ。
震災直後にカーナビのデータ活用は飛躍的に進化した。当時カーナビの走行履歴は各社バラバラに保有されていたところ、通行可能な道路を把握するために各社が持つ走行履歴を統合し、Googleマップ上に表示できるような形式へと変換されるなどした。こうした仕組みは後に2014年の長野県を中心とした豪雪や2016年4月の熊本地震でも役立てられている。