OJTをとりまく環境
あなたの会社のOJTは上手く機能していますか?
OJTとは、On the Job Tranningの略語です。もともとの意味としては、実際の職場で働きながら(On the Job)、業務の訓練をする(Trainnig)教育手法を指しています。簡単に言ってしまえば、「実際の現場で業務をどんどん教え、早く仕事に慣れてもらう」といったところでしょうか。OJTを制度化している企業も多いので、「なんとなくのOJTの定義」についてはご存知の方も多いのではないかと思います。
さて、皆さんの職場のOJTはキチンと機能していますか? OJTが有効に機能しているか否かは、新入社員にとって重要な要素です。彼らは、学生時代とは異なる環境で仕事をしようとしているわけですから、少なからず緊張や不安を抱えているものです。
職場の先輩は忙しそうに働いていて、なかなか取り合ってくれない。先輩がどんなことをしているのか、なぜ忙しいのか、自分に何ができるのか、よく分からないまま時間だけが過ぎていく。そんな現場に配属された新入社員が、疎外感や疑問を感じるとしてもムリは無いでしょう。
3年目までに辞めた社員のほとんどがOJTに不満を持っている
職場での教育や人間関係に不満や悩みを感じる新入社員が非常に多いことが統計で明らかになっています。就職してから3年以内に退職した若者を対象とする調査では、「職場にOJTはあったか?」という問いに9割近くがYesと答えているにも関わらず、「適切な教育がなされたか」「人間関係は円滑だったか」という問いには約75%の人がNoと答えています(興味のある方は、ぜひ労働経済白書を読んでみてください)。
さて、この統計結果からどんなことが言えるでしょうか。率直に言えば、「きちんとしたOJTを行なわなければ、人材流出が進んでしまう可能性がある」ということです。 「一度就職したら定年まで頑張ろう」という意識は一般的ではなくなりました。OJTについて言えば、現在の新入社員は「担当者が教えてくれなくても何とか自分で頑張ろう」という選択肢だけではなく、「もっと自分を大切にしてくれる会社を探そう」という選択肢をもつようになっていると考えておいたほうがよいでしょう。
チームの一員として育ってもらうために
新入社員の状況に呼応するように、OJTを見直そうとしている企業が増えています。OJTという制度自体を導入している企業はとても多いのですが、実際にキチンと機能している職場はそれほど多くありません。そこで、新入社員のやる気や質よりも、OJTを実施する側の問題点に目が向き始めていると言えるでしょう。
「新入社員を手厚く過保護に育てましょう」と言っているわけではありません。ただし、新入社員の教育に対して正しい認識を持って取り組まなければ、チームの一員として仕事をしてくれる前に彼らは会社を去ってしまう可能性があることを知っておくべきでしょう。