企業と消費者のテクノロジーのタイムラグ
企業と消費者との接点――顧客接点は、テクノロジーのタイムラグによるギャップが最も問題になりやすい部分です。スマートフォンやタブレットも、TwitterやFacebookのようなSNSも、Gmailのようなクラウドも、これまでの新しいテクノロジーは企業よりも先に消費者に普及してきました。
従来は電話、FAX、電子メールだけだった企業と消費者のコミュニケーションを見ても、SMS (Short Message Service)、LINEなどのSNS(Social Network Service)、Webチャットといったテクノロジーが登場してきて、顧客接点は多様化してきています。こうしたテクノロジーに先んじる消費者にも、旧来からあるコミュニケーション手段を好む消費者にも、企業は両方に対応していく必要があります。
しかし、企業が新しいテクノロジーに対応するのは一筋縄ではいきません。理由は、新旧のテクノロジーで「サイロ状態」を生じさせない工夫が必要だからです。サイロとは、以下の写真のような穀物や家畜の飼料を蓄える気密性の高い倉庫です。サイロが空気を通さない様子から、ITの文脈でいう「サイロ状態」とは、システム間をデータが流通しなくなってしまう状態を指します。企業が新しいテクノロジーを導入する際には、古いテクノロジーとの間でデータを流通する工夫―「サイロ状態」にさせない工夫が求められます。
さて、本稿では「多様化するコミュニケーション手段に企業が対応しないとどのような問題が生じるのか?」「新しいコミュニケーション手段の導入後に”サイロ状態”になってしまうとどのような問題が生じるのか?」「どのようなアーキテクチャで解決すべきなのか?」という切り口で、昨今の企業と消費者のコミュニケーションにおける問題をそれぞれ見ていきます。特にコミュニケーションの方向とコミュニケーションパスの形状に応じて、スルーされるDM問題、隠れLINE問題、見つからない窓口問題の3つに注目します。
まずは、「スルーされるDM問題」を見ていきましょう。