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アドビがマイクロソフトと手を組む最大の理由は「エクスペリエンス」―Adobe Summit 2017


 米国ラスベガスでは、IBMのInterConnectとほぼ同じ日程でアドビの年次デジタルマーケティングカンファレンス「Adobe Summit 2017」が開催されていた。このイベントには昨年の10,000人から20%増となる12,000人が参加、アドビのデジタルマーケティングのソリューションが着実に成長していることをうかがわせる。アドビでは、今回のイベントのタイミングからデジタルマーケティングだけでなく、企業が優れた顧客体験を提供することにフォーカスされるようになった。そのため新たに「Adobe Experience Cloud」という包括的なクラウドのブランディングを発表。その中には、「Adobe Marketing Cloud」「Adobe Advertising Cloud」「Adobe Analytics Cloud」の3つのクラウドが含まれる構成となっている。

マイクロソフトのサービスと3つのレベルで統合する

 今回のAdobe Summitでは、エンタープライズ企業がコンテンツやデータ、インテリジェンスを既存のプロセスやデータシステムに容易に連携できるようにするための共通データ言語「Standard Data Model」を発表した。

 これは、顧客との接点を持つさまざまなアプリケーションを利用する企業が、顧客体験を1つにするためのものだ。共通言語を使うことで顧客のプロファイルや行動などの情報を、アドビのクラウドと容易に連携できるようにする。このStandard Data Modelの開発には、Acxiom、AppDynamics、Dun&Bradstreet、Mastercard、Qualtrics、Zendesk、[24]7なども参画している。

 そしてこのStandard Data Modelの開発をリードするもう1つの企業が、2016年9月にアドビとの提携を発表したマイクロソフトだ。アドビとマイクロソフトは、この業界標準データモデルの共同開発に加え、具体的な協業施策としてAdobe Experience CloudとMicrosoft Azure、Microsoft Dynamics 365、Microsoft Power BIを統合して、クロスチャネル体験やキャンペーン実行の仕組みを新たに提供開始する。

 今回のタイミングでは、両社の3つのサービス統合を発表している。Adobe CampaignとMicrosoft Dynamics 365の統合では、Adobe Campaignのマーケティングでのタッチポイント情報と、Microsoft Dynamics 365のCRMの顧客情報を統一し顧客のシングルビューの構築が可能だ。これにより、マーケティングとCRMで一貫した顧客体験が提供できる。

 Adobe AnalyticsとMicrosoft Power BIの統合では、双方のデータ分析の機能を1つにする。これによりたとえばPower BIにデジタルマーケティングで得られる顧客の行動データを入力することで、各セグメントにおけるキャンペーンの影響度を可視化し、最も有効な顧客タッチポイントを推測できる。またPowerBIで得られる結果を、Adobe Marketing Cloudにフィードバックし、すぐにマーケティングアクションに反映させることも可能となる。

 もう1つの統合は、アドビのクラウドサービスをMicrosoft Azureの上で利用できるようにするものだ。まずはAdobe Experience Manager Sites Managed ServiceがMicrosoft Azureの上で利用できるようになる。将来的には、Microsoft Azureの上でアドビとマイクロソフトのサービスを活用した一貫した顧客体験のソリューションを構築できるようになるのだろう。

 アドビのエグゼクティブバイスプレジデントでCTOのアベイ・パラスニス氏は、今回のマイクロソフトとの協業におけるサービスの統合には、3つのレベルがあると語る。

 アベイ・パラスニス氏
アベイ・パラスニス氏

 「1つめがインフラレベルでの統合で、アドビのクラウドサービスがMicrosoft Azureの上で動くものです。2つめがデータとデータモデルレベルでの統合で、これは共同開発する標準の共通言語でデータやデータモデルがシームレスに連携できるようになります。そして3つめが、ユーザーエクスペリエンスレベルの統合です。これはたとえば、Adobe AnalyticsをPowerBIの中に入れ、PowerBIのユーザーエクスペリエンスに統合しています」(パラスニス氏)

 アドビとマイクロソフトでコネクターを提供するので、データとデータモデルの統合を行うような際にも、IT部門などがインテグレーションのためにコードを書くなどの手間は発生しないとのことだ。

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提携は両社にとってベストなタイミング

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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