Azure IoT PoCキットをベースにさまざまなソリューションを展開
このAzure IoT PoCキットを使って検証可能なIoTソリューションの分野は多岐に渡るが、おおまかには2種類に大別できるという。
1つは、品質管理のために工場や倉庫などの環境データをセンサーで定常的に取得し、可視化するというもの。例えば温度・湿度センサーを倉庫に設置し、常に測定値が許容範囲内に収まっているかを監視し、もし異常値を検知したらアラートを上げるといった具合だ。あるいは、作業員の体温をセンサーで測定し、その値を監視するような使い方も考えられる。既に、Azure IoT PoCキットに追加のセンサーを加え、さらにMicrosoft Azureの「Azure SQL DB」サービスも追加して測定データを蓄積できるようにすることで、上記のような取り組みを始める企業が出てきているという。
もう1つのユースケースが、機器の状態をセンサーでリアルタイムに測定・可視化するとともに、機械学習技術を使って「故障の予知」を行おうというものだ。製造業で使われる生産設備などは、故障が発生する前に振動や異音といった予兆現象を発する。こうした予兆を検知するためには、これまでは熟練の保守作業員のスキルに頼るほかなかったが、これをセンサーで検知し、さらにその測定値の推移をMicrosoft Azureの機械学習サービスに学習させれば、ある特定の推移パターンから故障を予知できるようになる。
このように、同キットに追加のセンサーや新たなクラウドサービスを付け加えることで、さまざまな用途に応用可能なIoTソリューションが実現できるという。
「デバイス技術に強いパートナー企業がAzure IoT PoCキットに独自にセンサーなどを加えたり、あるいはクラウド技術に強いパートナー企業がMicrosoft Azureのさまざまなサービスを加えることで、個々のパートナー企業が自社の強みを生かしたIoTソリューションを構築できる。しかも、弊社がCSPとして提供するMicrosoft Azureの課金体系は、ユーザーが使った分だけを翌月に支払う従量課金制を採用しているため、より多くのユーザーに受け入れられやすいはず」(西脇氏)
同キットが多くのパートナー企業やユーザー企業に好評を博したことを受け、現在同社には多くのパートナー企業から「うちのデバイスを使った検証キットを共同開発したい」との申し出が寄せられているという。こうした声に応え、同社では今後新たなデバイスやクラウドサービスを組み合わせたAzure IoT PoCキット「第2弾」「第3弾」の提供も予定しているという。