SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

DB Press

リレーショナルとNoSQLのいいとこどり、Azure DocumentDBとは


 パブリッククラウドのPaaSにおいて、システム構築の鍵となるのはデータベースだろう。各クラウドベンダーはオンプレミスの世界で既に実績のあるデータベースだけでなく、独自のリレーショナル、NoSQLのデータベースを提供している。マイクロソフトもSQL ServerをIaaSの上で動かすだけでなく、SQL Serverと同様なリレーショナルデータベース「Azure SQL Database」をPaaSで提供している。そしてもう1つNoSQLのデータベース・サービスとして提供しているのが「Azure DocumentDB」だ。DocumentDBは高度な拡張性を持ち、NoSQLの特徴でもあるスキーマフリーの柔軟性も提供する。このDocumentDBについて、製品を担当するディレクターのシアム・ネア(Syam Nair)氏に話を聞いた。

ネア氏
マイクロソフトでDpcumentDBを担当するディレクター、シアム・ネア氏

Q:Azureにはさまざまなデータベースがありますが、その中でもDocumentDBはどのようなサービスですか?

ネア氏:従来の(SoRの)アプリケーションで利用されるリレーショナルデータベースでは、低レイテンシーとデータの永続性が重要になります。一方グローバルで利用するような(SoEの)モダンな(モバイル向けの)アプリケーションでは、顧客の近くにデータがあることが重要です。

 さらには実装のスピードと柔軟性も必要になります。そのためにはNoSQLデータベースのスキーマレスなアーキテクチャが向いており、それでDevOpsにも対応しやすくなります。Azure DocumentDBは、NoSQLデータベースの柔軟性とリレーショナルデータベースの永続性、低レイテンシーの両方を備えたデータベースになります。

 その上でDocumentDBは、クラウドサービスであるAzure SQL Databaseのテクノロジーと同じように作られており、グローバル・ディストリビューションを前提に構築されています。そのため、リージョンをまたいだ形で利用することが可能です。つまり顧客がどこの国にいても、顧客の近くでデータの読み込み、書き込みができるのです。

 DocumentDBは、書き込みに最適化されラッチフリーなデータベース・エンジンを持っています。これにより、ドキュメント型(JSON形式)のデータの検索が、極めて高速に行えます。DocumentDBでは、読み込み検索の処理の99%以上が10ミリ秒以下のレスポンスを確保しており、書き込みの処理も15ミリ秒以下をSLAで保証しています。

Q:改めてDocumentDBの特長を教えてください。

ネア氏:クラウドのNoSQLデータベースのサービスには、CAP(Consistency:一貫性、Availability:可用性、Partition-tolerance:分断耐性)定理があります。分散コンピュータの環境でデータがパーティショニングされている際には、これら3つの要素を同時に確保することは難しいのです。DocumentDBの場合は、アプリケーションの開発者がCAPのどれを優先するかを選べるようになっています。一貫性を保つようにするのか、可用性を重視するのか。さらにスループットをとるのか。それを開発者が自分で決めることができます。

 もう1つ、さまざまなデータアクセス方法を持っていることも挙げられます。SQLやMongoDBと同じアクセス方法(Mongoクエリ言語)、JavaScriptも使えます。JSON形式のデータを扱うデータベースとしてMongoDBは、今や一般的で堅牢なものです。そのため既にMongoDBのフレームワークを使っているアプリケーションは数多くあり、DocumentDBではMongoDB用に構築したコードを変更することなく利用できます。

 さらにストレージのスループットを最適化でき、ストレージやスループットを自由に選択できるのも特長です。これによりTCOの最適化も可能です。

Q:DocumentDBは、どのような用途に向いているのでしょうか?

ネア氏:DocumentDBには、既に多くの実績があります。用途の1つとしては、IoTなどのアプリケーションがあります。またグローバルレベルで利用するアプリケーションにも向いています。これはDocumentDBが、クリック1つでリージョンをまたいでレプリケーションができるからです。つまり、ユーザーがどこにいても、ローカルにいるのと同じレイテンシーでデータを読み込めます。フェイルオーバーの仕組みも組み込まれているので、どこかのサービスがダウンしても何ら問題はありません。

Q:DocumentDBは、マイクロソフトが1から構築した独自のデータベースなのですか?

ネア氏:クラウドの環境においてグローバル規模で利用するために、マイクロソフトがオリジナルで開発したデータベースになります。オープンソースを利用しているわけではなく、マイクロソフト独自のエンジンとなっています。とはいえ、MongoDBのオープンなプロトコルもサポートしています。エンジンとランタイムはマイクロソフト独自ですが、データへのアクセスはオープンです。

次のページ
柔軟な拡張性を要求されるようなアプリケーションに向いている

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
DB Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/9299 2017/05/26 15:15

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング