フィンランドのヘルシンキに本社を構えるITセキュリティ企業がWithSecure(旧社名F-Secure)社です。
そもそも、フィンランドでセキュリティの技術が進んでいる背景には、同国の歴史と地政学的な環境があります。古くはスウェーデンから独立後にロシアに割譲され、また第二次世界大戦ではソ連の侵攻に抗して戦ったことから、「枢軸国」としてみなされ、戦後の欧米から賠償金が課せられたという歴史があります。こうした歴史を経て、教育と産業によって成長してきました。このあたりはわれわれ日本人にとっては、なんとなく親近感を感じるところです。また子供へのプログラミングなどの教育も進んでいます。
そんな大国との緊張関係の中で、セキュリティの産業が発展してきたようです。もともとNokiaという通信企業があったことも由来です。WithSecureの前身のF-Secureの創業者兼会長は、リスト・シラスマ氏。スマホの普及によって危機に瀕したNokiaの携帯事業をMicrosoftに売却し、Nokiaを復興させたことで有名です。現在のCEOもNokia出身だそうです。
筆者は今年の6月にこのヘルシンキでのWithSecureのイベントに取材しました。北欧は初めてで、ちょうどNATOへの加盟をめぐり、フィンランドとロシアの緊張関係が高まっていていた時期です。「トナカイやムーミンやサンタは見たいがロシア兵には会いたくないなあ」と思いながら出張してきました。カンファレンスは中身の濃いセキュリティのセッションがぎっしりでしたが、前日には同社の顧客とプレスを招待しての、市内観光とサウナのツアーがありました(仕事です)。
そのWithSecureの本社のオフィスにはサウナがあり、社員や訪問客がいつでも自由に利用できます。サウナの中では黙浴なのですが、「ととのった」後の交流が、イノベーションを生み出しているのかもしれません(イミフ)。
そのWithSecureの日本法人が、『Cyber SecurityサウナJapan』というポッドキャストの番組を開始しています。
『Cyber SecurityサウナJapan』は、社内外のセキュリティエキスパートをホスト/ゲストとして、様々なことが起こっているセキュリティ業界でのホットなトレンドやテクノロジーに関する情報、そしてインサイトをお届けすることが目的。もともとはヘルシンキの本社でスタートした企画で、日本の人にもぜひ情報を提供したいという思いから日本語版をはじめたのだといいます。
サウナの中で収録しているわけはなく、サウナに入った後でWithSecureのサウナ大好きの河野真一郎さんと技術ツッコミのアンッティ・トゥオミさんが語っています。内容は、サウナの話題に加え、オープンソースセキュリティ、ホワイトハッカーの重要性、ランサムウェアの動向など本格的なセキュリティのトピックなど。すでに3回が公開されていますが、次回はAWSのコンサルタントの方との収録を予定しているそうです。
WithSecureの広報の秦さんはこの企画についてこう語ります。
「以前から日本でも、英語ではなく日本語でサイバーセキュリティの情報をわかりやすく、そして楽しくお届けするポッドキャストをやりたかったのですが、日本でもここ数年サウナブームなので、そのまま『Cyber SecurityサウナJapan』というタイトルを付けました。
会議室で収録するだけでは退屈ですし、将来的には本家に超えるものにしたいので、サウナ施設を貸し切りにしたり、当社のロゴを入れたテントサウナをキャンプ場に持って行き、サウナを楽しんでリラックスしてから収録しています。今後は一般向けの公開収録を定期的にサウナ施設やキャンプ場でやりたいですね。パートナー様やお客様、そしてメディアの方々にもサウナファンが多いようですので、一緒に盛り上げて行きましょう。本社を説得してテントサウナまで作ってしまったので、もう後には引けません!」
また、WithSecureでは、サウナ好きのセキュリティ関係者のために、オリジナルのロゴ入りサウナハットも作っています。現在新バージョンの制作が進んでおり、年内には一般向けプレゼントを実施予定で、時期や応募方法はTwitter @WithSecure_JP でお知らせするとのことです。
この番組を視聴して、「サイバーセキュリティ」と「サウナ」という2つの「サ活」(こじつけ)を実践してみてはいかがでしょうか?