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ビッグデータ時代の企業競争力―情報武装と差別化戦略が鍵

業務のIT化の進展に伴い、企業システムに流入するデータ量が爆発的に増加している。そうした中、これら大量のデータを積極的に活用し、自社の競争力強化に役立てようという企業が増えてきている。その中心を担うソリューションが、DWH(データウェアハウス)だ。この領域で、長らくリーディングベンダーとして君臨するテラデータでは、どのようなソリューション戦略を描いているのだろうか。日本テラデータ株式会社 代表取締役社長の吉川幸彦氏に話を聞いた。

他社との差別化と企業競争力の強化高まるデータ活用の重要性

― 今日多くの企業で、爆発的に増え続けるデータをうまく活用することで自社の競争力を強化する取り組みが始まっています。そうした流れについて、テラデータではどのように認識されていますか。

 「データ活用の重要性」ということが叫ばれるようになってすでに久しいのですが、昨今ではIT投資の見直しなどを終え、多くの企業がようやく「これからどうやってビジネスを前進させていこうか」というフェーズに入りつつあります。そこでは、他社との差別化をどう図るか、ということが重要なポイントになります。

 つまり、競合に打ち勝つための手段の1つとして今まで以上にデータを活用していく、あるいは、競合に打ち勝つための価値訴求を企業内のデータから求めていく。そういったデータ活用への需要が顕在化し、実際に企業が活用し始めているのが現状だと思います。

日本テラデータ株式会社 代表取締役社長 吉川幸彦氏
日本テラデータ株式会社 代表取締役社長 吉川幸彦氏

― そのようなデータの活用法が可能になった背景には、どういった要因があったのでしょうか。

 企業におけるデータの活用法は、どんどん進化してきています。初期の段階では、単純なレポーティング用途が主でした。この段階のDWHシステムは、事前定義型クエリによるバッチ処理が主流でしたが、これは当時のコンピュータの性能ではバッチ処理が精一杯だったからです。

 しかし、コンピュータの性能が向上するにつれて、データの活用法もより詳細な分析へ、さらには将来起こる事象の予測へと進化してきました。そして今日では、ビジネスイベントの発生に即座に反応して何らかのアクションを起こすような、極めてリアルタイム性の高いDWHシステムが実用化されています。

 こうした仕組みを実現するためには、システムに極めて高い性能が要求されますが、近年のハードウェア性能の飛躍的な向上およびデータベースの機能向上によって、それが現実のものになっています。データ容量についても、5年前にペタバイト級のDWHが実用化されると考えていた人はほんのわずかでしたが、いまやかなりの数の企業がその規模のDWHを運用し実際の業務に活用しています。市場の変化に伴う分析ニーズの変化、それに対応できるハードウェアやデータベースの機能向上がデータの活用法の進化を生んでいるのだと思います。(次ページへ続く

 

企業におけるデータ活用を加速させる「エンタープライズ・データウェアハウス」

―こうした新たなデータ活用法のニーズに対して、テラデータではどのようなソリューションを提供しているのでしょうか。

 テラデータでは、「EDW(エンタープライズ・データウェアハウス)」というコンセプトを提唱しています。これは、企業の中でバラバラに散在しているデータを1つに統合して、それを企業のトップ層から現場の方々まで、皆で同じデータを活用しようというものです。従来は社内の各部門ごとに、部分最適化されたデータマートを導入しているケースが多かったかと思います。ある企業では、社内に1000以上のデータマートが存在しているそうです。

 しかし、そうしたデータの持ち方では、データの内容は重複しますし、データの整合性にも問題が出てきます。また、データに対するセキュリティやガバナンスを確保するのも困難になります。さらには、部分最適のデータマートは一般的に稼働率が低く、また多くのデータマートを運用するための手間も掛かるため、無駄なコストが発生してしまいます。これら散在するデータマートをEDW に統合することで、効率的にシステムを運用できるようになりますし、セキュリティやガバナンスも一元的に管理できるようになります。

―EDWを実現することによって、ビジネス面では具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

 小売業での例を挙げれば、それまで商品と顧客のデータをそれぞれ別の部門で個別のデータマートを使って分析していたのを、EDWにデータを一元化することによって、「どういう顧客が、どういう商品を購入しているか」という観点で分析できるようになります。

 これによって、以前は見えなかった商品と顧客の間の様々な相関関係を知ることができ、その結果を販売戦略に迅速に反映できるようになります。これはごく簡単な例でしかありませんが、こうしてデータを統合し、従来はまったく別のものだった分析領域を重ね合わせることによって、今までは見えなかったものが見えてくるようになるわけです。

―なるほど。では、そのようなEDW の仕組みを実現するために、システムにはどのような要件が求められるのでしょうか。

 EDW のコンセプトは極めてシンプルですが、実際には「言うは易く行うは難し」です。EDWを実現するためには、様々なシステム要件をバランス良く満たす必要があります。まず、従来のDWHやデータマートと比べると、データ容量が大きくなり、ユーザー数も大幅に増えますから、それに対応できるだけの高いパフォーマンスが必要になります。また、入ってくるクエリの種類も、単純なものから複雑なものまで、多種多様に渡ります。これを「ミックスワークロード」とわれわれは呼んでいますが、そういう色んな種類のクエリを適切に判断・処理するための機能も必要になります。

そのほかにも様々な要件が必要になりますが、1つの要件だけが突出して優れていても、ほかの要件が劣っていては意味がありません。すべてをバランス良くサポートできないと、EDWの環境は構築できません。その点テラデータの製品は、これらすべてをシステム全体としてバランス良くサポートできるのが特徴になっています。(次ページへ続く

 

Hadoopとの連携でビッグデータ時代にいち早く対応する

― 大量のトランザクションデータを分析するニーズが増えてきた一方で、ソーシャルメディアのデータやWebのログ、あるいはセンサーデータといった非定型データなど、いわゆる「ビッグデータ」と呼ばれる様々な種類のデータの量が爆発的に増えてきています。こうした新たな潮流に対しては、テラデータはどのようなソリューションを提供するのでしょうか。

 われわれの考え方は、すべてのデータを何もかもTeradataのEDWの中に取り込むというものではありません。最近注目を集めているHadoopのような新しい技術は、非常に大容量の非構造化データを効率よく処理できるようになってきていますので、そういった技術との連携を深めていくことで、ビッグデータに対するソリューションを提供していこうと考えています。事実、米国テラデータでは現在、Hadoop ベースのデータマネジメントソリューションやサービスを提供するClouderaとの技術提携、協業を進めています。

 ビッグデータと呼ばれる情報の中には、確かに企業にとって価値の高いものが含まれていますが、一方ではそうでないデータも多く含まれています。そうしたデータまですべてTeradataの中に取り込んで分析の対象にするのは、効率的とはいえません。従って、詳細かつ迅速に分析する必要があるデータは、Hadoopから抽出してTeradata に取り込む一方、そうでないデータはそのままHadoopの中に溜めておきます。そして、このようなデータの分類をどう行っていくかが、今後の課題になっていくかと思います。

― Hadoopから、分析に必要なデータだけをTeradata に抽出できるようなソリューションが実現するわけですね。

 はい。現在Hadoopのデータを抽出して、Teradata に取り込むための連携ソフトウェアが開発されており、そのプロトタイプがすでに運用されています。われわれが見るところHadoopを導入する企業は当初は「何でもHadoop 上でできるのではないか?」と大きな期待を抱いていますが、いざ実際に利用してみると、様々な限界や制約に突き当たることが多いようです。従って、当初はHadoopだけですべてのニーズを満たそうと計画していた企業でも、やはりTeradataのようなDWHソリューションと組み合わせて利用するべきだと考えを改めるケースが増えてきています。

― 分析のニーズに応じてデータを分類することが重要とのお話ですが、そのために貴社ではどのようなソリューションを提供しているのでしょうか。

 すでにテラデータの製品には、ワークロード管理機能の一環として、データの重要度に応じて自動的にディスク上でデータの配置換えを行う機能が実装されています。参照される頻度が高いデータをシステムが判別して、高速に読み出すことができるディスク領域に自動的に配置するのです。また、将来的にSSDが製品に実装された場合には、参照頻度の高いデータを読み出しスピードの速いSSD上に、そうでないデータは大容量のHDD上に自動的に配置することも可能になります。

 テラデータ製品の最大の特徴は、こうしたチューニングが自動的に行われるところにあります。これは、非常に重要なポイントです。EDW のような複雑なデータベースになりますと、通常は運用管理に多大なコストが掛かりますが、これを大きく削減できるのがテラデータの大きな強みです。(次ページへ続く

データ活用を促進するために「部門の壁」を突破せよ

― テラデータのEDWソリューションが企業にもたらすメリットについては、大変良く理解できました。しかし、現在のデータマートが乱立している環境をEDWに移行するにあたっては、様々な困難を伴うことが予想されます。テラデータでは、そうした移行を支援するソリューションは提供されているのでしょうか。

日本テラデータ株式会社 代表取締役社長 吉川幸彦氏
日本テラデータ株式会社 代表取締役社長 吉川幸彦氏

 われわれはただ単にコンセプトとしてEDWを提唱するだけでなく、実際にそれを具現化するための手法を「EDWロードマップ」という形で定義しています。またそれを基に、EDWの導入を目指す企業に対してコンサルティングサービスも提供しています。さらに、EDWに適した「LDM(Logical DataModel)」というデータモデルも業種別に定義し用意しています。このデータモデルに沿った形でデータインフラを構築することで、たとえ小規模なデータマートであっても、将来のEDWへの拡張が保証された形でシステムを構築することができます。

 データマートのソリューションが陥りがちな問題は、取りあえず目先のデータ分析だけにフォーカスして手っ取り早くシステムを構築した結果、全体のデータモデルがないがしろにされてしまうことです。また、利用するアプリケーションに合わせてデータベースを構築した結果、拡張性のないデータモデルが出来上がってしまうケースも多々あります。しかし、LDMに基づいてデータモデルを設計すれば、スモールスタートで始めて徐々に分析エリアを広げていき、最終的にはそのままEDW に行き着くことができるのです。

― 社内の各部門で独自に構築したデータマートを統合するとなると、いわゆる「部門間の壁」が問題になることも多いかと思います。

 そうですね。やはり部門レベルでは、「自分たちの業務に最適化したシステムを持っておきたい」という思いは強いでしょう。しかし、経営全体の効率化という意味では、明らかにデータマートが乱立している状況は無駄が多いと言わざるを得ません。

 これを解決するには、部門の壁を越えたデータ統合が不可欠です。そのためには、やはりエグゼクティブ層の方が積極的にイニシアチブを取ってEDWのプロジェクトを推進していく必要があると思います。私が知る範囲でも、データ活用で成功している企業はほぼ例外なく、トップの方が積極的に旗を振っています。

― そうすることで、日本企業でも今後データ活用がもっと進んでいくということですね。

 はい。日本企業はここ数年間、ずっと「コスト削減、コスト削減」で来ていましたが、今年はいよいよビジネスをリスタートさせる年になると思います。日本は人口が徐々に減っていきますし、長期的には国内市場は縮小傾向に向かいます。つまり、限られたパイの奪い合いになるわけです。

 そうした中、企業が成長していくためには、冒頭でもお話しした通り、データ活用による差別化戦略が鍵を握ることになります。もちろん、海外市場に進出する企業も増えてくるでしょうが、海外の企業では日本よりはるかに情報武装が進んでいます。国内、海外ともに競争が激化していく中で、どう戦っていくのか。それが日本企業に課せられたこれからの課題ではないかと思っています。

吉川 幸彦(よしかわ・ゆきひこ) 氏

日本テラデータ株式会社 代表取締役社長 1976年 システムエンジニアとして日本NCR に入社。1989 ~1992年まで米国 NCR本社 パシフィック・グループ ジャパン・マーケティング担当マネジャーとして赴任。帰国後、経営企画室長、コンピュータ製品企画部長、流通システム本部マーケティング統括部長等を務める。 2003年からテラデータ事業本部にて、産業/通信ソリューション事業部長、パートナー営業統括部長等の役職を務め、データウェアハウス事業の成長に寄与。2006年 執行役員テラデータ事業本部長、2007年 常務執行役員に就任。 2007年9月 日本テラデータ株式会社 代表取締役社長に就任、現在に至る。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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