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第13回 データに天寿を全うさせる~情報ライフサイクル管理のお話(1)

  2008/06/13 14:00

データの生涯を人生に例えて

 コンピューター・システムのデータの場合も、やはり「大切なものは大切な所へ、そうでないものはそれなりに、いらないものは処分する」という作法に則って取り扱うことが望ましい。しかしデータの場合、時間の経過と共に価値が変化してしまうのが厄介な点だ(図13-3)。

図3. 時間の経過はデータの質を変化させる
図3. 時間の経過はデータの質を変化させる

 例えば今は非常に重要なデータが、1年後には意味を成さなくなってしまうことがある。この逆に、1年前は意味の無かったデータが、今や重要な情報となる場合もある。記録されたデータがリンゴやバナナのように時間が経つにつれて変化するという訳ではない。これは環境の変化により、情報の価値が変化したことによって起こる現象だ。これをうまく取り扱うためには、データが今どんな状態になっているかを把握する必要がある

 人間は生まれてから幼少期、青年期、壮年期を経て、老年期に至り、最後には死を迎える。生まれ来るものは必ず消えてなくなるのは世の常だ。データについても、それが辿る経過を人生に見立て、生成されてから活用され、その後一定の保管期間を経て削除されるというような体系で管理していこうという考え方を情報ライフサイクル管理と呼ぶ。英語ではILM(アイ・エル・エム:Information Lifecycle Management)と呼ばれている(図13-4)。

図4. ILM:情報ライフサイクル管理
図4. ILM:情報ライフサイクル管理

 データは色々なパターンがあったとしても、大枠で見ると必ず活用されていた時期から活用されない時期へと変異する。あまり使われない時期になったら、パフォーマンス的には遅いものであってもコストがより安いストレージに移動させたほうが効率的だ。この様な操作を行うことで、高速で高価なストレージ機器の使用率を緩和させることができ、且つ、低速だが廉価なストレージ機器を活用できるため、投資対効果を高められるというメリットが期待できる。

 また、ILMの考え方の中に、必要でなくなった場合は削除するという考え方が入っている点は注目に値する。これは逆に考えると、不必要という判断が下るまでは必要なデータとして削除されてはいけない、という積極的な意味にも受け取ることもできる。故に既に更新はおろか参照もほとんど行われないデータであっても、保管期限が設定されたデータには削除防止や改ざん防止などの機能を備えておく必要がある。


著者プロフィール

  • 佐野 正和(サノ マサカズ)

    1986年日本アイ・ビー・エムの入社、本社SE技術部門で13年間ストレージ製品を中心に技術サポートを行なう。1999年にストレージ製品事業部に移り、以後、IBMストレージ製品の営業推進やソリューション推進、製品企画などの業務に携わる。現在、システム・ストレージ事業部でソリューション担当部長を拝任し、同社に17人いるシステムズ&テクノロジー・エバンジェリストの一人として各種講演活動も積極的に行なっている。

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