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■第3回 “Do Not Track”(オンライン行動の追跡拒否)をめぐる攻防―米国で高まるパーソナルデータ活用の規制強化の機運(2)

  2013/07/19 07:00

「行動ターゲティング」は、広告配信事業者等が、Cookieなどを用いて、個人のネット上の行動履歴を収集・分析し、個人の趣味嗜好にあわせた広告表示やサービスを提供する仕組みで、これまでに多くの関連ビジネスが創出され、拡大を続けているビッグデータビジネスの中心的な存在である。しかし、ネット上の個人の活動を本人の明示的な同意を得ないまま追跡して利用することは、プライバシーを侵害するのではないかという声が次第に大きくなり、規制強化の動きが顕著になりつつある。本稿では、米国のネット広告市場を概観しつつ、規制の動向を踏まえた対処のあり方について論じていく。

成長続く米国のネット広告市場

 米国のネット広告市場は、毎年大きな成長を続けており、2012年は約3.7兆円弱(366億ドル※1ドル100円で換算)に達し、全広告市場の26.6%を占めるまでになった。一方、日本のネット広告市場は、2012年に9,000億円弱で、着実に成長しているものの、その伸び率は小さく、全広告市場に占める比率も14.7%と米国の半分程度である(図1)。

図1:ネット広告市場及び全広告費に占めるネット広告費の比率に関する日米比較
出所:日本は電通の公表資料、米国のネット広告市場はIAB”Internet Advertising Revenue Report”、
広告全体の市場はKantar Mediaの公表資料からデータを収集して、1ドル100円で換算して作成。

 このように、米国におけるネット広告市場は、日本の市場規模の4倍で、全広告市場に占める割合も倍近くあり、かつ成長も著しい。それだけ広告主にとって支出する価値のあるメディアとみなされているといえる。そして、このネット広告の価値が、双方向性を利用したパーソナライゼーションであり、行動ターゲティングである。

 米国のネット広告市場の内訳は、検索連動広告が46%、ディスプレイ/バナー広告が21%、モバイル広告が9%、リスティング広告が7%の順となっており*1、いずれもが、何らかの消費者のアクションをトリガーにして配信されるものである。すなわち、事前に消費者の過去のサイト上の行動を追跡して蓄積・解析すれば、より高い精度の広告配信が可能となる。

 例えば、検索連動広告であれば、消費者のサイト閲覧履歴を蓄積・解析することで個人の関心事や嗜好を推測することができ、より個人にフィットする広告を配信できる。これに購買履歴や位置情報を組み合わせれば、ターゲット精度はさらに向上するであろう。

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著者プロフィール

  • 小林 慎太郎(コバヤシ シンタロウ)

    株式会社野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 兼 未来創発センター 上級コンサルタント 専門はICT公共政策・経営。官公庁や情報・通信業界における調査・コンサル ティングに従事。情報流通が活発でありながら、みんなが安心して暮らせる社会にするための仕組みを探求している。著書に『パーソナルデータの教科書~個人情報保護からプライバシー保護へとルールが変わる~』(日経BP)がある。

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