IDCではDevOpsについて、企業がスピード、生産性、品質などのビジネス能力を高めることを目標とし、ビジネスを支えるアプリケーションの開発(Dev)からオペレーション(Ops)までのプロセスを通して複数の組織や担当者が共同で取り組む際の必要な方法論と一連のプラクティス(実践)と定義している。
DevOpsソフトウェアは、DevOpsを実現するために組織の構造と開発/オペレーションプロセスの両方に体系的な変更を加え、各プロセスの調和を図るために必要となるツールと定義している。
小規模でDevOpsを実践する企業が増加し、2017年の国内市場は前年比16.1%増
2017年の国内DevOpsソフトウェア市場は、前年比成長率16.1%で166億1,000万円となった。トライアルやパイロットプロジェクトなどを含む小さい規模でDevOpsを実践する企業が増えつつあり、DevOpsソフトウェア市場が立ち上がりを見せている。
2018年からはIT組織全体でDevOpsの実践を本格化させる企業が増えていくに伴いDevOpsソフトウェアの使用率が高まり、2018年から2020年まで20%以上の前年比成長率が続くと見ている。IDCでは2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は20.8%、2022年には427億円に達すると予測している。
短期的にはソフトウェアのバージョン管理や変更/構成管理、テスト/品質管理を行うアプリケーションライフサイクルソフトウェアへの投資が優先して行われる。アプリケーションライフサイクルソフトウェアを活用し、継続的インテグレーションが実現される。中期的には、アプリケーションの実行環境に対する投資にシフトしていく。アプリケーションデプロイの自動化/管理ツールやモニタリングツールなどオペレーション管理ソフトウェアに関する市場が拡大していくとみている。
DevOps向けパブリッククラウドサービス市場が高い成長
今後、DevOpsソフトウェアの提供形態にも変化が出てくると考えられる。2017年では、DevOpsソフトウェア市場におけるパッケージソフトウェアの売上額構成比は75%だが、2022年には56%にまで下がりる。一方、パブリッククラウドサービスの売上額構成比が2022年で44%にまで拡大、2017年~2022年のCAGRは34.8%になると予測している。
DevOps向けパブリッククラウドサービスの成長要因としては、主要なPaaS(Platform as a Service)においてDevOpsサポート機能が拡充されていくことと、DevOps向けアプリケーションライフサイクルツールをSaaS(Software as a Service)として提供するサービスプロバイダーが増加していくことが挙げられる。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は「国内DevOpsソフトウェア市場は、今後アプリケーション主導型のイノベーションを実現しようとする企業の投資が拡大していくことによって高い成長を続けていく。商用パッケージソフトウェアとオープンソースソフトウェアだけではなくクラウドサービスにおいても、企業のDevOpsプロセスの構築と統合をサポートするために拡張が行われ、DevOpsソフトウェア市場の拡大をさらに加速させていくことになる」と述べている。
今回の発表は、IDCが発行したレポート「国内DevOpsソフトウェア市場予測、2018年~2022年」にその詳細が報告されている。