SAPジャパンは、中堅中小企業に向けたソリューションの導入の促進のため「パートナー・パッケージ・ソリューション承認制度」を開始する。承認されたパッケージソリューションは、推奨マークを冠しWebなどで発表していく。
4月10日に行われた発表会見で、常務執行役員の牛田勉氏は、昨年からの中堅・中小企業への取り組み強化の成果を発表した。それによると、2017年度で中堅中小の新規案件は倍増し、パートナーを通じた商談件数は2.7倍に増大し、また既存顧客の売上は53%増えたという。
この結果は、中堅中小向けの専用Webサイト「GB Website」やFacebookページをはじめとするデジタルマーケティングの成果であり、今後この方向をさらに進めるという。また新たな取り組みとして「AIを活用したデジタルマーケティング」を始める。これはポテンシャルニーズのある中小企業を業態や地域のデータを科学的、客観的に分析し営業戦略に活用するというもの。すでにドイツ、オーストリア、米国では成果があがっているという。このシステムをSAP単独ではなくパートナー企業にも開放していく。
また今後、ERP製品だけではなく、営業支援系のHybrisや人事系のSuccessFactorsなどの関連ソリューションの提供も中小企業向けに強化する。特に調達・購買系のAribaについては、中小企業向けに機能をカスタマイズしたものを近く発表する予定だという。
会見では、中堅・中小企業を代表して東京化成工業の浅川誠一郎氏が、SAPの導入事例を語った。同社は学校や研究機関向けの化学薬品メーカーを販売する老舗企業。R3の時代から15年に渡るSAPユーザーだ。
「東京化成としては、売上規模から見ると導入当初は巨額な投資になるため、なるべくカスタマイズを避けてきた。そのため現場の課題解決を別製品に頼るなどで、結果的に費用も膨らみ、データも散財する傾向にあった。数年前、米国のSAPHIREを視察して、それまで断念していた課題がパッケージで可能なことを知り、国内だけの情報収集では限界があると感じた。」(浅川氏)
東京化成としては海外売上の比率がましており、さらなるグローバル化のため、SAP HANAを中心とするシステムへの移行を決めたという。
SAPのソリューションに対するイメージ調査では、従来の高額で大企業向けというイメージはかなり低減した。中小企業からの引き合いの例としては、国内のパッケージベンダーからの移行の案件などが増大していると牛田氏は語った。