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働き方改革は「労働時間短縮」重視、多くの企業は本質的な生産性向上に至っていない――ゾーホージャパン調査

 ■調査から判明した日本企業における主な課題

 1. 働き方改革は「労働時間短縮」に関する項目が重視され、本質的な生産性向上には多くの企業では至っていない。

 2. 働き方改革において、関与部門として情報システム(IT)部門がもっとも多いにも関わらず、情報システム(IT)部門自体の生産性向上は立ち遅れている。

調査結果1:重視される項目は労働時間が主で本質的な生産性向上よりも先行

 500名を対象に調査を実施したところ、349名(全体の69.8%)もの所属企業が働き方改革に「積極的に取り組んでいる」または「部分的に取り組んでいる」と回答した。働き方改革に関する企業全体の取り組みは「長時間労働の是正」が85%を超え、効果がでている項目でも「残業時間の削減」が75%を上回りともに1位となった。

 一方で、効果がでているテーマにおいて「システムやツール導入による業務の効率化」が25.5%、「業務の標準化やプロセスの改善」は15.2%となり、本質的な生産性に関わる業務の効率化についての効果は高くない結果となっている。(図1)

図1:企業で働き方改革の効果が出ているテーマ上位6つ

調査結果2:働き方改革の効果は情報システム(IT)部門へはやや立ち遅れ

 情報システム(IT)部門に注目した場合、働き方改革の効果について「効果が出ている」、「やや効果が出ている」の回答は前者と比べた場合、-7.2ポイントという結果となった。また「効果がない」「あまり効果が出ていない」という否定的な回答は全社に比べ+8.9ポイントとなり、情報システム(IT)部門への効果はやや立ち遅れていることを示唆している。(図2)

図2:全社と情報システム(IT)部門の効果の比較

 情報システム(IT)部門での働き方改革の取り組みの内、成果が出ている事項上位2つは、「残業時間の削減」「有給休暇の取得促進」となった。これは、企業全体での成果が出ている事項上位2つと一致しますが、ともに約20ポイント程度低い結果となる。

 また、企業全体での傾向と同様に、情報システム(IT)部門の成果が出ている事項の「システムやツール導入による業務の効率化」が21.5%、「業務の標準化やプロセスの改善」は10.3%と本質的な生産性に関わる項目の効果は高くないと言える。(図3)

図3:情報システム(IT)部門で働き方改革の効果が出ているテーマ上位6つ

調査結果3:情報システム(IT)部門の人手不足と変わらない生産性

 情報システム(IT)部門の人数は足りているか、という設問で肯定的な回答は10%程度にとどまった。「そう思わない」「あまりそう思わない」という回答は企業規模に関係なく50%を超えた。情報システム(IT)部門の課題を問う質問においても「慢性的な人員の不足」が約47%で最も多い回答となっている。

図4:情報システム(IT)部門の人数の過不足について

 直近1年間における情報システム(IT)部門の生産性の向上は、「変わらないと思う」が約54%と多くを占めました。生産性が「向上していると思う」は約13%。「生産性は低下していると思う」が約18%と、生産性向上に肯定的でない意見が多く示されている。

図5:情報システム(IT)部門の生産性について

ドリルダウン:情報システム(IT)部門の生産性向上を妨げているものは何か?

 今回の調査により働き方改革の取り組みにおいて、人手不足と生産性向上が課題であることが浮き彫りとなった。しかし、情報システム(IT)部門の増員予定を訊いた質問では「増員予定」と回答した方は全体の24.6%となり、大きくは期待できない。

 一方で、生産性の向上は現在のリソースで達成できる可能性を秘めている。大きく生産性の向上を目指す場合、まずはどのような業務がボトルネックとなっているのかを洗い出す必要がある。

 この調査では「ウェイトが高い業務」「業務負荷が高い業務」「業務負荷を下げたい業務」等の質問により情報システム(IT)部門が課題としている問題をドリルダウンしている。

 ■調査方法

 この調査は、ゾーホージャパンがウィットの監修を受け、下記内容で実施した。

  • 調査機関:2019年5月31日(金)~6月3日(月)の3日間
  • 調査地域:全国(日本)
  • 調査方法:インターネット定量調査
  • 対象者:情報システム(IT)部門に所属し、職務経験が3年以上/勤務先の従業員規模数が100人以上(正社員数)
  • 有効数:500名

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