ガートナージャパンは、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の推進状況に関する調査結果を、2月21日に発表した。
同調査は、全国の従業員数20名以上のITユーザー企業のシステム管理者、あるいは購買責任者を対象に、2019年5月に実施しており、715社から有効回答を得ている。
日本では、2018年から2019年にかけて、検証目的や一部業務に限定してRPAを採用してきた企業の多くが、社内の適用範囲を拡大しようとRPAの推進に取り組み始めた。ハイプサイクルにおける「過度な期待」のピーク期を抜けて、幻滅期の底に向かう状況にある。
調査対象の企業に対して、RPAのおもな作業内容について尋ねたところ、社内システムからのデータの抽出、データの転記や二次加工などが中心であることがわかった。業務システムのデータ更新作業や社外向けシステムに関連する作業といった、障害発生時に大きな影響を受ける業務への適用は、未だ検討段階の企業が多いと予測される。
自社のRPAの推進体制について、もっとも近いものを3つの選択肢から選んでもらった質問では、「IT部門が取りまとめ、全社で推進体制を標準化」(67%)がもっとも多く、以下「各部署の判断で個別に対応」(21%)、「ツールや研修は全社で標準化、推進は各部署が対応」(12%)が続く。
RPAの開発体制について、もっとも近いものを3つの選択肢から選んでもらった質問では、「IT部門が開発」(57%)が最多で、「ユーザー部門が開発」(23%)、「ユーザー部門が外部委託で開発」(20%)がそれに続いた。
ガートナーは、今回の調査結果の背景として、「一般的な企業のユーザー部門にとって、RPAのシナリオ開発は言われるほど容易ではない」と多くの企業が理解していること、RPAを安定稼働させるために不可欠なノウハウやスキルの修得が、ユーザー部門にとっては容易ではないこと、企業として一定のガバナンスを確保するための開発プロセスやガイドラインをユーザー部門のスタッフに理解させるのは簡単ではないことの、3つの要因を挙げている。