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AWS、内閣官房・総務省発表の報告書を解説 11の要点でハイライトを紹介

  2020/09/01 17:00

 アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)は、内閣官房・総務省発表の「第二期政府共通プラットフォームにおけるクラウドサービス調達とその契約に係る報告書」(以下、「報告書」)について、コメントを発表した。

 AWSジャパン・パブリックセクターより「報告書」の概要と、読み取られるべきインパクトについて解説している。

「報告書」の要点・ハイライト

 以下、AWSの理解による今回の『報告書』の要点・ハイライト紹介。

要点①:クラウドサービスの「分離調達」を実施

 従来の公共調達においては、システムの設計開発とクラウドサービスとを“セット”で調達する「一括調達」が圧倒的に多く観察される調達形態であった。

 しかしながら、今回は

「政府共通PFにおいては、後者の分離したクラウドサービスの提供とこれに関連したアカウント管理のための役務提供を含む調達」

 の方式が選定され、調達が実施されている。

要点②:随意契約ではなく「一般競争契約」を選定

 政府調達においては「競争性」をどのように担保するか、つまりは、一般競争契約を行うか/随意契約を行うかの判断分岐が生じる。

 今回の調達においては、

「クラウドサービスの調達方法に関して、国内外様々なCSPが提供しており、現行の会計法令からすれば、原則、一般競争契約による調達を検討することが望ましいもの」

 と整理され、調達が実施された。

要点③:最低価格ではなく「総合評価」方式で調達

 「報告書」において詳述されているとおり、「落札方式については、最低価格落札方式か総合評価落札方式かを検討する必要がある」とされている。

 今回の調達では、

「クラウドサービスの安全性やサービス・レベル・アグリーメント(以下「SLA」)等に関する要求要件を調達仕様に明記する場合や役務提供などの複合的な要素がある場合は、クラウドサービスの内容、種類等から総合的に判断する必要があるため、総合評価落札方式によることが適当」

 と整理をし、「最低価格落札方式」ではなく、「総合評価落札方式」を選定した旨、経緯が記載されている。

要点④:直接契約ではなく「間接契約」を締結

 今回の「報告書」では、直接契約・間接契約のメリットをそれぞれ比較考慮したうえで、間接契約を締結するに至った経緯が説明されている。

要点⑤:CSPと中間事業者に課す「サービス提供条件」を分離

 多くの顧客に均一なサービス利用条件を提供するビジネスモデルに基づくクラウドサービスプロバイダー(以下、CSP)にとって、個別の調達案件ごとにカスタムされた利用条件・契約条件を提示することは至難の業であった。公共調達において調達者側が求めたい“責任”と、CSP側が負い切れる“責任”とのギャップを、要点④で述べた「中間事業者」に対して求める“責任”とのコンビネーションにおいて、乗り越える工夫が行われ、応札者にとっての参入機会の拡大も図られた。

要点⑥:従量課金を「単価契約」で実現

 クラウドの特徴でありメリットの1つとして挙げられることの多い「従量課金」。今回の「報告書」では、クラウド採用に伴う“従量課金”への対応を、総価契約でも概算契約でもなく、「単価契約」で実現している。

要点⑦:利用サービスの種類を限定せず、随時の追加が可能と整理

 政府予算からの支出が行われる以上、予算要求時点での精確な利用サービスの「種類」、その「ボリューム」が積算根拠として明記されることが、日本の公共調達では長らく求められてきた。

 他方で、今回の「報告書」ではもう一歩踏み込み、利用するクラウドサービスの追加が調達実施の時点以降も可能となる整理を行うことで、各利用機関にとって提供される柔軟性・迅速性が大幅に高まっている。

要点⑧:複数年契約のメリットを認識しつつも「単年度契約」を実施

 契約の「期間」に関しては、「単年度」か「複数年(長期継続契約)」かに大別される。

 今回の調達・契約では複数年度の契約は見送られたが、「長期継続契約(いわゆる複数年契約)」のメリットと将来的な議論の必要性に関しても「報告書」で言及されている。

要点⑨:予算超過時の考え方を明記

 多くの公共部門の顧客から、「クラウドのメリットの1つが従量課金である反面、予算額を超過してしまった場合にはどうすればいいのか? AWS側で超過した分を相殺してくれるのか?」といった質問が多く挙がっていた。

 今回の「報告書」では、こうした懸念・疑問に明確な指針が提示されており、将来的には利用システムを横断したクラウドリソースの融通、そして予算の融通に関しても、今後検討が進められる旨が言及されている。

要点⑩:「包括契約」の検討加速の必要性に言及

 「報告書」では、複数の個別調達を横断的に束ねる「包括契約」が、内閣府・総務省のプロジェクトチームにて一時期議論された経緯について、説明されている。

 この説明に加えて、「今後の主な検討事項」として「契約方式の継続検討(包括契約の締結の可否)」が挙げられており、「包括契約」は将来的な検討課題として位置づけられている。政策目標が達成されるためには、「包括契約」締結に向けた検討の加速が待たれる。

要点⑪:「クラウドvs.オンプレ」から、クラウド前提の“行政のDX“実現へ、議論はシフト

 「報告書」の最終ページ、結語部分では、「大きな論点」は、

「クラウドかオンプレミスかという二項対立的な議論から、クラウドによってスタイル・チェンジができるかできないかに移りつつある」

と記載され、“果たしてクラウドを採用すべきか否か”といった旧来の議論の土俵から、クラウドによって政府情報システム、ひいては政府・行政の在り方をいかに「スタイル・チェンジ」=いかに“政府・行政のDXを実現するか”へと、議論が移ってきているとの認識が述べられている。

 今回の「報告書」は、共通PFの利用府省だけに向けて書かれたものではなく、1府12省庁、その外局や地方自治体など、デジタルガバメント実現に向けて取り組む多くの公共機関の幅広いオーディエンスを想定して書かれている。AWSは、「報告書」の記載が多くの公共調達の現場において読み込まれ、クラウドの調達・契約に際してのヒントとなることを期待し、上記の要点の紹介をしたという。

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著者プロフィール

  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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