北海道IT推進協会は、2019年度における北海道内の情報産業の実績等について取りまとめたレポートを発表した。
本レポートは、昭和57年度以来、経済産業省北海道経済産業局が道内のIT産業の実態を定量的に把握するため実施していた「北海道情報処理産業実態調査」(北海道IT産業実態調査)の内容を、平成18年度から北海道IT推進協会が独自調査として実施しているものだという。
業績概況
2019年度(平成31年度・令和元年度)の売上高は4,813億円と4.9%増加、2020年度は9年ぶりに減少の4,731億円と推計
2019年度の売上高は、4,813億円と推計され、前年度比4.9%増となり、7年連続で4,000億円台を維持した。道内の主要製造業の出荷額(2019年工業統計確報)と比較すると、第2位の石油製品・石炭製品製造業に次ぐ位置にあり、出荷額合計の7.6%を占める産業規模となっている。
また、2020年度売上予想については、9年ぶりに前年比減少の4,731億円と推計された。
雇用・人材確保等の状況
従業者数は約22千人、引き続き人材不足感が強い
従業者総数は、前年度(21,690人)比2.8%増の22,291人と推計された。道内の主要製造業の従業者数(2019年工業統計確報)と比較すると、道内製造業第1位の食料品製造業に次ぐ位置にあり、製造業合計の13.1%を占める雇用吸収力を有している。
また、職種別従業者の過不足感については、「SE(システムエンジニア)」が最も多く66.8%を占め、次いで「プロジェクトマネージャー」(46.1%)となっている。
「働き方改革」への取り組み状況としては、道内事業所では「テレワークの導入」が最も多く65.7%を占め、次いで「多様な労働時間制度の導入(短時間勤務制度等)」(36.0%)、「時間単位の有給休暇」(33.1%)、「賃金体系の整備」(30.9%)、となった。道外本社事業所では「テレワークの導入」が最も多く87.5%を占め、次いで「多様な労働時間制度の導入(短時間勤務制度等)」(67.5%)、「明確な人事評価制度」(42.5%)だとしている。
経営課題・成長戦略等
最大の経営課題は人材確保・育成。成長戦略はクラウド、AI、IoT
道内事業所が現在抱えている経営課題は、「人材の確保・育成」が最も多く64.4%を占めた。次いで「営業力の強化」(53.4%)、「技術力の強化」(51.1%)、「企画・提案力の強化」(37.4%)となっている。
今後、力を入れていきたい分野は、道内事業所では「クラウド」(35.9%)が最も多く、次いで「AI」(29.5%)、「IoT」(26.3%)の順である。道外本社事業所では「AI」・「クラウド」(42.1%)が同数で最も多く、次いで「IoT」(36.8%)、「ビッグデータ」(28.9%)が比較的高い回答となった。
また経営戦略上、取得・作成している国際規格や計画は、ISO27001/ISMS、Pマーク、BCP、ISO9001が多い一方、道内事業所では約3割が特に取得・作成していないと回答している。
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