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Appier、ミン・スン氏が2021年のAIトレンドを予測

  2021/02/04 17:16

 Appierは、「2020年のAIトレンドと2021年の予測」を発表した。同社チーフAIサイエンティストであるミン・スン氏が、2020年のAI活用および2021年に予測されるAI技術の進化や社会変化を予測したものである。

2020年におけるAIトレンド総括

新型コロナウイルス感染症による影響

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で生活様式が大きく変化し、それにともないデジタル変革は従来の5倍のスピードで進んでいる。デジタル決済などの金融やオンライン診療などの医療、オンライン授業などの教育といった多岐にわたる分野において非接触ソリューションが拡大し、ニューノーマル経済を推進しているという。様々な分野でデジタル化が加速したことから、2021年はすべての企業が自社をIT企業として捉えるべきであり、テクノロジーを高度に利用し、より多くのデータを収集しながらAIを戦略的使うことが重要になる予測している。

画像認識や自然言語処理などの分野で起きた「AI革新」

 オンラインから収集できるデータ量の増加やクラウド上での大規模な実証の実現により、AI革新は今後も続くと予想される。2020年には大きく3つの異なる様相においてブレークスルーが起こったという。

  1. 画像認識の分野:教師なしメソッドである「SimCLR」が提案されたことにより、少ないアウトプットで画像を認識できる
  2. 自然言語処理の領域:昨年、巨大な言語モデルである「GPT-3」が登場している。これは言語理解、言語生成において他のモデルをかなり上回るパフォーマンスを示し、言語モデルとして初めて1千億個を超えるパラメーターを利用するモデルになった
  3. タンパク質フォールディング:医薬品の設計や新型コロナウイルス感染症などの病気の理解など化学的な発見をすることができる

2021年AIトレンド予測

自然言語処理

 1つ目のトレンド予測は、生物医学の分野での自然言語処理モデルの利用増加。ハーバード大学の研究によると、AIに対してテキストを読むのではなく、生物学的な配列を読み込ませることで、新型コロナウイルス感染症の変異を予測することが可能になるという。これにより現実世界において変異を念頭に置いて備えることができるとしている。

 また、2020年に複数の分野でAIの進化が見られたことから、各分野でのコラボレーションが進むことも予測される。具体的には、言語でインプットし、画像でアウトプットすることなどが考えられるという。2021年の初め、スタートアップ企業であるOpenAIはデモンストレーションを発表した。たとえば「犬を散歩させている、チュチュを着ている赤ちゃん大根のイラスト」と入力すると、それに沿ったイラストがいくつも作成される(図1参照)。これにはGPT-3が活用されており、このデモンストレーションを作成するためにAIに再学習させる必要はないということを同社は主張しているという。

図1
図1 [画像クリックで拡大]

人間中心のAI

 2つ目に人間中心のAIという考え方は今後も続くと予測される。開発されたAIのエンドユーザーは人間であることから、研究者はAIの開発にあたって人間を中心に据えなくてはならないと、ミン・スン氏は主張している。この考え方を技術の面から見ると、「安全な利用に向けて、いかに保証付きのAIを開発するか」「人間が理解できるよう、どのようにAIに自身の行動を説明させるか」「人間とのやりとりを通して、AIにどうやって効率的に学習させるか」という3つの分野に注力している。

 また、2021年は単に人間中心のAIということだけではなく、人間の行動に対してより感度の高い察知力をともなう環境知能も普及してくるという。たとえば病院に設置されているセンサーを分析することで、医療過誤を予防することにつながる。また、特定の患者の状態が悪くなっているということをアラートで出すことも可能だという。さらに、赤外線センサーや震度センサーを使うことで個人のプライバシーを保護したうえで感染経路などを把握できるとしている。

より少数のインプットに基づく学習

 3つ目に、より少数のフィードバックからAIが学習可能になることが予測される。また、より多くのデバイス上でAIが効果的に用いられ、時計やメガネなどのウェアラブルデバイス(図2参照)や、ドアベルに設置されているカメラなどの据え置き型のデバイスなど、あらゆる分野でAIが普及するという。

今後の課題

 トレンドにともなう課題として、AIのバイアスがあるとしている。AIは人間が作っており、また活用されるデータは人間が収集したものであるために、AIにバイアスがかかっている。その対策として、データやアルゴリズムにどのようなバイアスがあったのかを監視することが必要となるという。そして、そのバイアスによってどのような影響が出るのかを分析し、できるだけその影響が大きくならないよう、データの収集プロセスの見直しや、バイアスの少ないデータを集めること、アルゴリズムを公平にするといった調節が必要になってくるとしている。

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  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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