クラウディアンは3月5日、2021年度の事業戦略を発表した。
昨年Cloudianは、全世界の顧客基盤を36%拡大し、550社以上の顧客を獲得。また、Cloudianのストレージ容量の総計は63%増加したという。日本では、昨年の国内ユーザー数を合わせた利用総容量は2019年比で約250%になったとしている。
2021年度事業戦略概要
1.パートナーシップ戦略
①ディストリビュータとリセラーネットワークによるビジネスの拡大
既存販売代理店に加え、昨年新たに参画したネットワールドのリセラーネットワークを活用することで、日本の主要顧客のデジタルトランスフォーメーションを可能にする戦略的プラットフォームを提供するという。クラウディアンは、戦略的チャネルパートナーであるネットワールドと緊密に連携して、同社のビジネスに関連する新しい業界トレンドを特定し強化していくとしている。
②戦略的パートナーであるVMwareとの緊密な連携
CloudianとVMwareの複数年にわたるパートナーシップにより、CloudianのオブジェクトストレージをV-Cloud製品に統合している。また、VMware vSAN Persistent Servicesプラットフォームに統合することで、従来のVMまたはコンテナ(Tanzu)から直接Cloudianストレージに導入および管理できる。今後も、セールスとマーケティングの両面でVMware Japanと緊密に連携し、サービスプロバイダーやオブジェクトストレージを必要とする新規および既存のVSANの導入を推進していくという。
2.製品&ソリューション戦略
①次世代分析プラットフォームの実現
「CloudianHyperStore」は、ネイティブS3とNFSをサポートし、任意のパブリッククラウドに階層化できる。そのため、オンプレミスのリソースが制限されたときにパブリッククラウドに移行することも可能だとしている。2021年は、国内の他の研究センターや大学でも、同様のコストとパフォーマンスを最適化したハイブリッドアーキテクチャを実現できるようにする予定だという。
②バックアップ、アーカイブ、ランサムウェア対策
Cloudianは、バックアップソフトウェアベンダーと連携し、エンドツーエンドのソリューションを開発してきたという。2021年には、FINRAが認定する「オブジェクトロック」によるデータの不変性をサポートする、主要なバックアップベンダーとのパートナーシップを強化。ランサムウェア攻撃からのデータ保護だけでなく、内部の管理者であってもバックアップの改ざんや削除が不可能になるとしている。
③CloudianHyperStoreの独自機能を日本の状況下で活用
日本国内では、ネイティブS3 API、マルチテナント機能、クラウドライクな操作のしやすさなど、独自機能を引き続きアピールしていくという。たとえば「CloudianHyperStore」のメリットの1つは、自己管理型ストレージ。これは運用上のオーバーヘッドがほぼゼロで、大規模なクラスターの管理が可能になるものだとしている。
同機能を導入すると、100テラバイトのホスティングと100ペタバイトのホスティングを比較しても、実質的には同じ運用ワークロードになるという。日本の深刻な技術者不足を考えると、これは大幅なコスト削減につながり、優秀なエンジニアはより戦略的な取り組みに集中することができるとしている。
また、災害対策のために複数のデータセンターを必要とする企業は、クラスターをDC間で分割することが可能だという。日本は、長距離でこの低遅延を保証できる数少ない国の一つであり、この機能を十分に活用できるという。
Cloudianは、日本の政府機関向けビジネスを追求していくとしている。昨年は、バックアップやアーカイブ、次世代ゲノム配列(シーケンサー)プロジェクトなど、政府機関の顧客を新たに5社、合計7社増やしているという。2021年も業績成長を目指し、ソリューションパートナーやチャネルパートナーとの連携を継続していくとしている。
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