キーサイト・テクノロジーは2024年8月2日、東京にて今回が10回目となる「Keysight World 2024: Tech Day Tokyo」を開催。また同日、新たな日本法人代表の就任会見が行われた。
新たに代表取締役社長に就任したのは、寺澤 紳司(てらさわ しんじ)氏。1988年に、横河電機とヒューレット・パッカードの合弁会社であり、キーサイト・テクノロジーの前身でもある横河ヒューレット・パッカード(現 日本ヒューレット・パッカード)に入社し、日本や欧州でのビジネス開発に従事した。その後、2009年からは半導体パラメトリックス事業部でマーケティング部長として、グローバルでの企業やアカデミアとの協業をリード。2018年には、キーサイト・テクノロジーズ・インクのバイスプレジデントおよび半導体テストソリューション 事業部長に就任した。
代表に就任後も、半導体テストソリューション 事業部長を兼務すると話す寺澤氏。先端半導体、次世代半導体の開発・製造を計測で支援することに加え、日本法人代表としての務めも果たしていくと語る。
同社は、通信、産業オートメーション、航空宇宙・防衛、自動車、半導体、一般電子機器市場の顧客を中心に、イノベーションパートナーとして支援を行っているという。たとえばAI活用については、以下のような取り組みが紹介された。
医療分野でのAI活用:電子カルテシステムのテスト
多数のデータソースが統合された複雑なシステムが残っており、かつシステムのテストはDIYや手作業が中心であった電子カルテシステムに、AI駆動型のテスト自動化ソリューションを導入。スタッフのリソースや業務時間改善のほか、リリースまでの時間削減、データセキュリティの強化を実現した。
このユースケースを、銀行向け自動決済システムや、航空用バーコード付き搭乗券、小売業向けPOS(販売時点情報管理)、製造業向けサプライチェーンマネジメント(SCM)にも応用可能だとしている。
オートモーティブ分野でのAI活用事例:自動運転
車載レーダーセンサーが検出するレーダー反射をエミュレートする技術で、AIアルゴリズムのトレーニングを支援。より安全な意思決定を可能に。
AI/MLネットワークの検証と最適化ソリューション
大規模AIデータセンターを再現性高く検証するエミュレーター(AI データセンター・テスト・プラットフォーム)を提供。「AIの稼働率が低く、演算処理に時間がかかる。消費電力もかさむ」「実環境のGPUサーバーで負荷試験を行うと、テストコストが高額かつ毎回同じ負荷量になるか不確実」などといった課題を解消し、AIインフラの効率化を実現する。
また、半導体市場に対しては、半導体の設計に膨大な時間がかかっている点に注目。半導体の設計は大規模かつ複雑なうえ、設計チームが複数拠点に分散しており、半導体設計エンジニアの工数のうち60%が、過去の設計データを探すためだけに使われているという。設計期間短縮のためには過去のデータを再利用する必要があるが、それ自体に多くの時間を費やしているという課題があるそうだ。
これに対し、同社は2023年にCliosoftを買収。効果的な設計データのバージョン管理や、社外IPや過去の設計データのカタログ化、設計資産の共有と再利用の全社レベルでの管理などをソリューションで実現し、設計時間の50%削減を実現したという。
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