システム開発に参加する担当者のスキルは様々
プロジェクトレビューは担当者の「スキルサプライ」に大きな効果を発揮します。
スキルサプライ(スキルの供給、伝授)とは、いわゆる「OJT」によって、高いレベルのスキルを持つものが、低いレベルの担当者へ、そのスキルを伝授しながら課題を解決していくことで開発品質を保つことをここでは意味しています。
システム開発は、創造的な要求分析、システム設計図を書くための要件定義から、プログラム作成、手続きが中心となる本番稼働のための各種登録手配まで、すべての工程が人間の能力に極端に依存した業務です。脳幹の部分から大脳皮質まで余すことなく活用しなければなりません。右脳も、左脳も、目も口も両手もフル稼働します。もちろんフットワーク、足も、ですね。
一方、システム開発プロジェクトに参加する担当者は様々です。キャリアのある人もいますし、異動で来た人もいます、新人も預かることがあるでしょう、中途採用の方がいることもあります。なかには意欲と実力に差のある人もいます。これはシステム開発に関係なく組織で仕事をする時は一般的なことですが、とりわけシステム開発は人間の能力に大きく依存した業務であるため、担当者のスキルが開発品質に大きく影響してくるのです。
しかし、このようにプロジェクトに参加する担当者のスキルが様々であったとしても、プロジェクトのアウトプットは要求される品質を満たさなければなりませんから、スキルサプライが大変重要な課題となります。
さらにこれが、開発依頼者・ステークホルダー担当者の場合となると、そもそもどういった仕事が必要なのかというレベルから認識してもらわなければならないことが多いのが実情です。やらなければならない仕事を、自分の仕事と認識してもらわなければ、スキルサプライもできません。システム開発を本来業務として認識している…これも重要なシステムリテラシーですね。
実際のところ、プロジェクトレビュー制度でも作らないと、特に日頃システム開発と無縁なステークホルダーに自覚を持って当事者の一員になってもらうのは大変なことです。プロジェクトレビューに出なければいけないという事実から理解が始まるところがあるのですね。
ということで、こういったことも含めて、システム開発の工程で行われる業務について、経験者、有識者が参加するプロジェクトレビューは、スキルサプライの実現という点からシステム開発品質を上げるために大変有効です。と言うより、必須といってよいでしょう。
もちろん、経験者、有識者がプロジェクトレビューにでれば必ずうまくいくというものでもありません。続いて、有識者の活用という点から押さえなければいけない点について述べることにしましょう。