「詳細かつ包括的な一元管理基盤」によるPC管理の必要性
―― 企業は現在、WaaSに対してどのような課題を持っていますか。
●鈴木氏:WaaSはパッチレベルの適用ではなく、ほぼOSの入れ替えです。ですから、サイズが大きくアップグレードに時間がかかります。通常業務に支障を来さない夜間に作業をしたいという要望がありますから、インフラやネットワーク環境を整えたり、それを管理するツールも必要になったりします。アップグレード自体はメディアでもできますが、そうなると管理者負担が大きくなり、エンドユーザーに作業をお願いすることになります。日本企業はIT部門でコントロールしたいという要望が多いので、時間的な制約と確実性に苦慮されているという状況です。
●福田氏:そうですね。アップデートの下準備が不十分だと既存の業務アプリが利用できなくなったり、アップデートが途中で停止したりするリスクがあります。WaaSを実施する前には入念な情報収集と検証が不可欠です。
―― こうした課題に対し、HPとNTTデータ ウェーブではどのようなサービスを提供しているのでしょうか。
●福田氏:NTTデータ ウェーブが提供する「Wave PC Mate」サービスは、ハードウエア・ソフトウェアの調達からセットアップ/キッティング、ヘルプデスクやパッチ適用などの運用管理をお客様に代わって実施するサービスです。OSパッチ適用はもちろんのこと、ソフトウェアのパッチを事前に動作検証を行い、お客様環境で不具合が発生しないかを確認したうえで、オンラインで一斉配信しています。エンドユーザーがワンクリックでセットアップが完了する仕組みなども提供しています。
●荻原氏:たとえば、OSのサイクルモデル選択です。コアベースのサーバーライセンスである「Long Term Servicing Channel(LTSC)」か、半期チャネルの「Semi-Annual Channel(SAC)」かを、複数の観点から検討し採用する必要があります。自社のIT部門でコストや運用面からライセンスを判断したり、基幹アプリの動作検証をしたり、WaaSで全従業員のPCをトラブルなくアップグレードできるのは、コストも人的リソースも豊富な一部の大規模企業だけでしょう。
●福田氏:WaaSが主流になる今後は、PC管理のあり方も問われます。統合的に一元管理できる環境が必須になることは言うまでもありません。その1つの“解”となるのが、「System Center Configuration Manager(SCCM)」だと考えます。
●大津山氏:SCCMはクライアントPCの構成管理に関する情報の収集、分析、ソフトウェア導入のための基盤となるマイクロソフトのサーバーミドルウェア製品です。ただし、運用管理にはある程度の専門知識が必要なんですね。また、PC環境に依存しない汎用的な管理ツールのため、PCメーカー特有のハードウエア情報やソフトウェア情報などを管理できません。こうした課題を解決するのが、HPの提供する「HP Manageability Integration Kit(以下、HP MIK)」です。
●鈴木氏:HP MIKは、HPのハードウエアやソフトウェアをはじめ、BIOSの管理機能をSCCMに追加する無償のアドオンツールです。世界で初めてSCCM認定を受けた管理ツールキットで、IT管理者がセキュリティポリシーを管理したり、ソフトウェアイメージの作成/配布を実施したり、TPM(トラステッド プラットフォーム モジュール)のバージョン変更などのリモート管理を可能にするものです。
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