規制やガイドラインに対応するだけでなく医療、医薬品企業の変革を長期にわたりサポートするヘルスケアクラウド
製薬企業に、安心してAzureを使ってもらう。そのためにマイクロソフトでは、医薬品の製造、管理、保管、流通段階における安全性と確実性の確保を目的に策定されたグローバルのガイドライン、規制である各種GxP(Good x practice)に対応してきた。日本においてはGxPに加え、製薬企業の日本独自のシステム利用ガイドラインとなる「コンピュータ化システムバリデーション(CSV)」に対応している。その取り組み結果として、たとえばAzure上でデータの管理、削除を行う際にマイクロソフトはそれをどのように保証するかを明らかにする「医薬品・医薬部外品製造販売業向け『Microsoft Azure』対応CSV適用リファレンス」を公開している。
「クラウド化により、Azureが担うインフラ部分がブラックボックス化しないように様々な認定を取得するとともに運用についても監査レポートを定期的に提供しています」と清水氏。このようなガイドラインを示すだけでなく、必要であればGlobal規模でAzureを運用しているエンジニアとコミュニケーションを取れるようにし、製薬企業が行う監査などで必要となる情報を得られるようにもしている。
こういったマイクロソフトの取り組みは、既に顧客からも高い評価を得ている。たとえば大手製薬企業などからは、日本や海外だけではなくローカルとグローバルで連携してガイドラインなどに対応できる体制が評価されているとのこと。「マイクロソフトはグローバルで統一した運用であり、各国に定められているローカルレギュレーションに対応しつつも基本となる運用ポリシーが定まっているところが良いとの言葉をもらっています」と清水氏。
さらに実際に製薬企業のクラウド化支援を行うパートナー企業からも、評価の声がある。パートナーなどがMicrosoft Azureのデータセンターツアーなどに参加し、直接管理の様子を確認しに行けるのだ。「現場のエンジニアなどと納得するまで会話ができる点は、他のパブリッククラウドベンダーの対応とは異なるとのパートナーの声があります」と佐藤氏も言う。
今回公開されているCSV適用リファレンスは、TIS、アバナード、JSOL、NTTデータ グローバル ソリューションズの4社が共同してワーキンググループ活動を行った結果で、主にクラウドインフラであるIaaS部分のバリデーションを行うリファレンスとなっている。「ワークグループでは今後はさらに、コグニティブなどを含む各種PaaSベースのAzureのソリューションを対象にCSVに適用できるようにしていきます」と佐藤氏。コグニティブのサービスを利用した結果などは、医薬品領域などでどう判断していけばいいかなど難しい面もある。とはいえそういったものにもマイクロソフトでは積極的に関わり、ITの先端技術を医療、医薬品分野で安心、安全に使えるようにしていくのだ。
マイクロソフトでは、単に安心、安全なクラウドのインフラを提供するだけでなく、IaaSさらにはPaaSも含め医療、医薬業界のソリューションとして、Microsoft Azureの活用を今後も進めると佐藤氏は言う。こういった姿勢こそが、長い間BtoBで顧客の課題を解決し新たなイノベーションを支援してきたマイクロソフトならではのアプローチなのだろう。