
2018年9月に経済産業省が「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」を公表したように、これからはデータ活用は企業存続に欠かせない鍵となる。ところが、これまでのシステムの老朽化や保守の属人化などが足かせとなっている。旧来のシステムを刷新し、新技術との連携を果たすためのソリューションを実例も交えながらアシスト 小山雄貴氏が解説する。
テスト工程で3日待ち、4人必要……それは「当たり前」?
パッケージソフトウェア販売において、アシストは長い歴史を持つ。設立1972年、オラクルの日本法人設立に関与するなど、データベースやデータ活用に関するソフトウェアパッケージを数多く「目利き」してきた。技術サポートにも定評がある。企業のデータ活用から運用までを幅広く支援している企業だ。
近年ではデジタルトランスフォーメーションとして、業務システムだけではなく幅広いデータを活用し、新しいサービスや顧客体験を提供することが企業の競争力の強化につながるとされている。
ただしデータ活用でデジタルトランスフォーメーションを実現しようとも、それを阻む壁がある。それが老朽化したレガシーシステムだ。業務システムが古いアーキテクチャや古いソフトウェアのままだと、業務継続のための保守や運用が非効率で現状維持で精いっぱいとなってしまう。新しい技術とのデータ連携など二の次だ。

株式会社アシスト データベース技術本部技術統括部 小山 雄貴氏
アシストの小山氏は「データを最大限活用するためには、レガシーシステムの刷新、それから既存システムと新技術の連携が必要です」と強調する。
レガシーシステムでデータ活用しようとする場合、何かと時間がかかる。特にテスト工程ではテストに入る前の準備に時間がかかる。Delphixの調べによると、レガシーシステムでデータ準備に要する平均時間は3.5日、それにかかる平均人数は3.8人とされる。テスト用のデータを業務システムから切り出すだけでも、この時間と人員が必要になる。データが大量で、バックアップや加工だけでもそれなりの時間がかかってしまうのだ。現場は「そういうものだ」と慣れているかもしれないが、小山氏は「トータルで非常に大きな時間を消費しています」と指摘する。ここは改善すべきところだろう。
既存システムと新技術の連携としてありがちなのが、分析用データの鮮度が悪いということ。業務システムは業務で使うため、負荷が高まると業務に悪影響を及ぼす。高負荷を避けるため、分析に使うデータの切り出しなどは定期的に夜間バッチで行うため、鮮度が落ちる。古いデータで分析すれば、得られる洞察もおのずと古いものとなる。
昨今ではデータの肥大化により、データを保持するだけでも多くのストレージを消費し、そこにコストもかかっている。企業が保有するデータは業務システムだけではなく、SNSやIoTのデータなど多岐にわたり、さらに監査、検証、機械学習のために何世代(バージョン)分もデータを保存しておく必要がある。こうしてますます大量のストレージを消費していく。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
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