Nimbleストレージはユーザーの本音にこたえます!
仮想化&クラウド世代のハイブリッドストレージ独自のロジックでパフォーマンスとコストを両立し管理工数を軽減
ストレージは長らくシステムのボトルネックだったが、不揮発性メモリを使用したオールフラッシュストレージが登場して一気に高速化。ただし高価格……、というのがここ数年起きた変化だ。HPEのポートフォリオに加わったNimbleストレージは、元来優れたストレージであり、HPEが誇る販売網によって一層広く認知された。2018年にはGen5と呼ばれる新世代モデルをリリースしたが価格はほぼ据え置くなど、コストパフォーマンスも高い。予兆検知についても全世界のNimbleストレージからデータを収集・分析するため、爆発的な台数増加により精度も更に洗練され、運用管理者への負担を軽減させた。
日本ヒューレット・パッカード(HPE) ハイブリッドIT事業統括 データプラットフォーム統括本部 営業本部 第三営業部 主任 深澤忠寿氏は「ストレージのミッションは何よりも、データを安全に保存すること。その上でどれだけパフォーマンスを高められるかが命題となっています。一般的にオールフラッシュでハイエンドなストレージ製品ですと、最小構成でも価格が高くなりますが、高い可用性と高い性能をミッドレンジの価格帯で実現できるのがNimbleストレージです」と話す。
HPEでオールフラッシュストレージというと3PARがあり、ハイエンド志向のユーザーに好まれる製品だ。そこに買収でエントリからミッドレンジの価格帯でNimbleストレージが加わり、ポートフォリオが充実した。HPEとして販売開始後は出荷台数が従来のNimbleストレージの3倍以上のペースで続伸するなど、「パートナー企業さんからの注目度や期待度も高まってきています」と同社 エンタープライズグループ事業統括 パートナー営業統括本部 第一営業本部 第一営業部 パートナービジネスマネージャー中島啓氏は手応えを語る。
ストレージはシステムで重要な要素ではあるものの、サーバーあってのストレージ。優先順位ならサーバーの方が高くなる。しかし、ストレージで妥協して低価格な製品を選ぶとデータ保存の容量は提供できたとしても、実用性に制限が出てくる。例えばスナップショットをとるなら、負荷の低い時間帯を選ばなくてはならず、障害が多く発生するなど、運用管理者にしわ寄せが来てしまうことになる。購入価格を安く抑えたとしても、人件費がより多くかかってしまっては本末転倒だ。ましてや、人材不足で働き方改革も叫ばれる昨今、人間が働ける時間は限られている。
なぜ、Nimbleストレージはこれらの魅力を実現できたのか。ポイントしては、システム監視技術「InfoSight」と独自の「CASL」アーキテクチャの2つがある。InfoSightは高い可用性を実現し、CASLは高いコストパフォーマンスを実現する。詳しく見ていこう。
他社の追随を許さないデータを蓄積したインフラ “InfoSight”
Nimbleストレージの真の強みである監視システムの「InfoSight」。世界中にあるNimbleストレージから常時データを収集し、それらをビッグデータ分析して障害を検知している。本来のハードウェアそのものも耐障害性の高い造りになっているところで、更に予兆検知により障害を未然に防ぐため、高可用性が実現できる。
InfoSightで収集しているデータは多岐にわたる。電圧、ファン速度、温度、CPU使用率、容量使用率、ネットワーク統計、VM統計、リードやライトのIOPSやレイテンシーなど。1台のアレイから1日あたり3~7千万以上のデータを収集している。蓄積したデータは10年分近くあり、それをAI(機械学習)も含めたビッグデータ分析にかけている。
考えてみてほしい。予兆検知ができないと、現場は壊れてから慌てて交換する羽目になる。より現実的には、性能劣化や障害の通報が運用管理者に届き、そこから問題を切り分け、HDD障害であれば交換を手配する。重要なシステムであれば残業で対応、あるいは夜間の緊急呼び出しなど、運用管理者の精神的な負担も大きい。障害が起きても原因不明で、再現待ちで時間を浪費することもある。
しかしNimbleストレージは稼働状況から予兆を検知するため、HPEから運用管理担当者に「障害の予兆を検知しました」と連絡が行くのだ。InfoSightはハードウェアのエラー検出はもちろん、最も切り分けが難しいとされる性能観点を含むソフトウェアにおける不整合や異常も検出する。壊れたり、性能が大きく低下したりして、結果サービスそのものが停止するといった、いわゆる“後の祭り”となる前に先手を打てるため、運用管理者はトラブルシューティングで翻弄されることもない。深澤氏は「(HPE買収前も含め予兆検知の前に)壊れて交換になったケースはまれです」と話す。よほどの特殊な条件がないかぎり、故障して交換することはないと考えていいだろう。余裕をもって交換作業日を設定できるため、精神的な苦痛も減らせる。ほかの価値あることに時間を有効に使えるのだ。
InfoSightのビッグデータ分析は驚くほど保守業務の自動化を実現している。86%のケースにおいて自動的に予測し、解決策まで提示している。平均的なケースクローズまでの時間は42分と短く、高い評価を得ている。
予兆検知だけではない。InfoSightはストレージだけではなく、仮想環境やネットワークのデータも収集し、可視化しているため、運用監視ツールとしても優れている。しかも無償提供だ。ストレージの監視ツールでありながらも性能の推移などの可視性が高く、ストレージ以外のトラブルシューティングに役立てられることも多い。実際、InfoSightで解決される問題の54%はストレージ以外に原因があったという。
なおInfoSightはもともとNimbleストレージの保守のために開発されたものだが、今ではHPE 3PAR(オールフラッシュデータストレージアレイ)、HPE ProLiant、HPE Apollo、HPE Synergyなど、続々とほかのHPE製品にも広がっている。2019年4月からはアプリも登場し、モバイル端末からも利用可能だ。
Nimbleが高コスパ高性能を実現する秘訣はココに!“CASLアーキテクチャ”& Nimble動画解説
Nimbleストレージが高いコストパフォーマンスを実現できるのは独自アーキテクチャ「CASL(Cache Accelerated Sequential Layout)」にある。
従来のHDDをベースとしたシステム通常のストレージでは、大量のランダムデータはどうしてもメモリ層からHDDへの書き出し速度がボトルネックとなる。書き出し速度が遅ければそれはHDDへの書き込み待ちに繋がり、結果としてシステム全体の性能が低い原因となってしまう。もちろん膨大な数のディスクを並べたり、HDDを使わず、オールフラッシュにしたりすれば高速化は実現できるものの、それではコストがかかる。
一方CASLでは、ランダムデータであってもシーケンシャルに変換してからHDDに書き込む。これにより、HDDへの高い書き出し速度を実現しているのだ。その結果システム全体の性能も高くなる。更に、シーケンシャルに変換する前にデータは重複排除・圧縮をされており、HDDの容量もコンパクトに抑えることが可能だ。
更に、Nimbleが優れているのは書き込みだけではない。HDDへの書き込み時にはホットデータを識別し、SSD Cacheにコピーしておく。これが読み込み時の高速化に効いてくるのだ。実際にアプリケーションからの読み込みのリクエストがあると、NimbleストレージではNVDIMM、DRAM、SSD Cacheという三層構造のうち、上位層から順にデータを探す。Nimbleストレージの実績では、ここまでで96%がヒットする。つまり、HDDへの読み込みが生じるのはわずか4%。HDDに読みに行く前にメモリで解決するため、読み込みも速くなる。
Nimbleストレージはハイブリッドストレージでコストを抑えつつも、CASLによるシーケンシャライズと、ほとんどがHDD外の上層での読み込みで完結するようなこのアーキテクチャによって、高価格にならずに高性能を実現している。コストパフォーマンスが高い理由はここにある。
2018年10月末時点における全世界での導入実績は1万5000社以上、日本国内では300社以上の導入実績を重ねてきた。買収直後は単に転売する形だったが、HPE製品としてモデルチェンジされてからは勢いが増している状況だ。2018年から本格的に始動したNimbleストレージの快進撃は今後ますます勢いづきそうだ。