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令和時代、サービスマネジメントの行く先―ーServiceNow久納氏、アクセンチュア加藤氏対談<後編>

 デジタルトランスフォーメーションやサブスクリプションビジネスへと進むなか、IT組織はどうあるべきか。ITインフラ構築や運用の未来を、IT組織変革支援や複数ベンダー管理などに明るいアクセンチュア株式会社 テクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントクラウド&インフラストラクチャグループ シニア・マネジャーの加藤 明氏と探っていく。第2回は、ServiceNow Japanでエバンジェリストを務める久納信之氏とともにエンタープライズサービスマネジメント(ESM)についてディスカッションする。(後編)

サブスクリプションビジネスのトリガーになれるのは誰か?

加藤:前編の記事で触れた通り、今はモノを売る時代から、サービスを提供するサブスクリプションビジネスの時代になりました。そうした展開を考え、サブスクリプションモデルを活性化させて事業を取りまとめる役割がますます重要になりそうですね。

久納:そうですね。サブスクリプションモデルの事例として、例えばGEはジェットエンジンの製造販売から、どれだけ回転させたかで費用を回収することを考えていますね。また、自動車業界でもトヨタ自動車がサブスクリプションの車利用プランを始めたり、MaaSを実現するための会社を設立するなど、事業スタイルが変わってきています。自動運転技術を進めながら、自動車は所有から共有へと変わっていきます。様々な業界において、安定的な収益を得て利益率を高める方法を考えると、今後サブスクリプションビジネスに向かうのは明らかです。

そうなるとものづくりなどの数で勝負していた会社は影響を受けます。例えば自動車メーカーは1000万台販売していたところが、共有ならもっと少ない台数ですむかもしれません。供給される部品数も減少します。そこに何かの価値を与えないと、今までの収益は得られなくなります。

加藤:確かに、価値の考え方が変わりますね。

久納:"サブスクリプションビジネス"をやるということは提供するサービスを常にカイゼンし、永遠にイノベーションを起こしていかなくてはならないということです。それができないと、サービス利用者に解約されてしまいます。そういう時代が近づいてきていますね。

また、私はサブスクリプションビジネスの発展について、元をたどるとサービスマネジメントの考え方やフレームワークが役に立つと思っています。加藤さんはどう思いますか?

加藤:私もそう思いますね。ITサービスマネジメントを実践する中で、継続的サービス改善の意義は身をもって感じます。それをエンタープライズの枠組みで、人事、経理、営業に横展開することができますし、その結果どのような組織体制を作るべきか、ある程度想像できますね。久納さんは、組織や人材育成はどのように進めていけばいいとお考えでしょうか。

久納:例えば新入社員を迎えた時の社内サービスを考えるなら、人事からITまでいろんな部署が対応する必要があります。社員入社時のプロセスにイノベーションを起こすなら、いろんな部門のいろんなサービスからなるサービスを提供しなくてはなりません。ここにヒントがあると思います。シンプルで使いやすくて、ステータスが分かりやすくて透明性があり、スピード感もあり、手のひらの上で進めていける。ESMもサブスクリプションビジネスも、要素は共通しているのだと思います。

加藤:そうですね。例えばその一つの組織形態としては、組織横断型のバーチャルチームが該当しますね。

久納:はい。私どもとしても、ここはアクセンチュアさんに期待しています。我々のようなプラットフォーマーよりも、お客様のビジネスに入り込んでいるアクセンチュアさんなら実現しやすいと思うので。

加藤:ありがとうございます。

久納:これからのユーザー体験は1社で提供するものとは限りません。複数の企業が提供するサービスを組み合わせてイノベーションを起こす必要があります。それができるのも、いろんな企業のビジネスに接しているアクセンチュアさんだと思います。機密保持などの制約はあるかと思いますが…。

少しだけServiceNowを語るなら、複数の企業のサービスをマネジメントしようとするなら、SIAMやVeriSMなどのフレームワークが必要になり、上手に回そうとするならServiceNowのプラットフォームが必要になると思います。

加藤:今まさにSIAMの話をしようとしていたところでした。

久納:IT部門にはその基礎があります。ERPサービスを例にすれば、実は複数の企業や複数のテクノロジーの組み合わせから構成されています。ですから、ビジネスのイノベーションにも共通してると言えます。

さらにITIL、SIAM、VeriSMのフレームワークもある程度出来上がっています。ただなかなかボトムアップでは行きません。トップダウンで進むように刺激を与えるなら、アクセンチュアさんが適役だと思います。期待しています。

加藤:ありがとうございます。おっしゃる通りだと思います。

久納:自動車業界をめぐる取り組みを例に挙げれば、自動運転サービス提供を見すえ、トヨタ自動車がソフトバンクとMaaS実現のための合弁会社を作りました。自動車製造に長けた企業とITアプリケーションサービスに長けた情報通信企業が互いの強みを融合する関係になります。

自動運転技術が発展すれば競争相手も変わってきます。自動車メーカーのライバルは飛行機や新幹線も入ってきます。ドアツードアで目的地まで運んでもらえるなら、時間も早いし、駐車場を探す必要もなくなるかもしれません。仕事優先、遊び優先など目的に合わせたサービスや体験もできるかもしれません。

加藤:なるほど。今後は「コラボレーション」とか「インテグレーション」がキーワードになりそうですね。

久納:社内にサイロがあるという認識を持った上で、サービスマネージメントの文化を育み、社員が社内サービスでいい体験を重ねていく必要があります。そうすれば社員はサービスやイノベーションがどういうものか感覚でつかめてきます。すると、新しいビジネスのアイデアやデマンドが分かり、イノベーション実現へと繋がりやすくなります。

次のページ
ITSM認識を新たにしESM、そしてビジネスへと拡大を

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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