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不確実性の時代における仮想化テクノロジーの意義

仮想化テクノロジーは、既存システムのコストを削減し、新規システムのビジネス上の価値を高める、いわば一挙両得のテクノロジーである。 現在のような厳しい経営環境において不要不急のIT投資を避けるのは当然であるが、仮想化テクノロジーを活用したIT基盤の最適化は多くの企業にとって有効となることが多いであろう。本稿では、不確実性の時代における仮想化テクノロジーの意義について解説していく。  

企業IT部門はどう予算を削減すべきか

 言うまでもなく今日の企業経営環境は未だかつてないほど厳しいものとなっている。IT市場においてもあらゆる分野で需要の冷え込みが見られる。

 たとえば、調査会社のIDCジャパンは、2009年度における日本のIT市場の成長率をマイナス1.7パーセントと見込んでいる。市場のパイ全体が右肩下がりとなっているわけだ。

 ほとんどの企業が「聖域なき」コスト削減を求められている。もちろん、IT予算もその例外ではない。2009年における多くの企業IT部門の課題は、どうすればIT予算を削減しなくて済むかではなく、どのようにIT予算を削減すれば最も効果的かという点になるだろう。

 ここで考えるべき重要なポイントは、ITへの支出は純然たる経費ではなく、企業の将来における成長に向けた投資でもあるということだ。

 IT支出削減→業務の生産性低下→企業の競争力低下→企業の業績悪化という「負のスパイラル」が発生してしまっては、IT予算の削減が企業に長期的かつ致命的なダメージをもたらすリスクが生じる(図1参照)。このようなリスクだけは何としても避けなければならない。

図1:絶対に避けるべきIT投資の負のスパイラル
図1:絶対に避けるべきIT投資の負のスパイラル

 この点を念頭において検討すると、すべてのIT案件において一様に予算をカットすることは、負のスパイラルを発生させるリスクが高い不適切なやり方だ。企業の将来を担うはずの戦略的システムの案件に十分な資源が提供されなくなる可能性があるからだ。

 一律カットという形で見かけ上の公平を期すのは政治的な軋轢が生じる可能性も小さくなり、IT部門の意思決定者としては気が楽かもしれないが、このような判断停止状態は避けるべきだ。このような厳しい環境においてこそ、IT部門の意思決定者は決断力を発揮し、減らすべきところは大胆に減らし、逆に増やすべきところは増やすというメリハリの利いたIT投資計画を立案する必要がある。

 また、逆説的に考えれば、今日のような厳しい経済環境は、企業内ITから無駄を排除する上で絶好の機会であるとも言えよう。平常時であれば、現場からの反発により、本来必要である改善活動がなかなか行なえないことも多い。

 しかし、今日のような危機的状況においては、個人あるいは個別の部門による過剰な既得権の主張が企業経営にダメージを与えてしまっては元も子もないことを誰もが自覚せざるを得ない。個別の利益よりも全体の利益を優先するというマネージメントの判断が理解されやすくなることも多くなるだろう。

 結果として、各現場でレベルの妥協を伴う全体最適化を目指す案件は今日のような危機的環境の方が行ないやすいとも言えよう。実際、企業においてイノベーションを成功させた事例の多くが、何らかの危機的状況の後に生まれているという点に注目すべきだ。

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IT投資ポートフォリオ管理によるフォーカスが利いたコスト削減

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この記事の著者

栗原 潔(クリハラ キヨシ)

株式会社テックバイザージェイピー 代表、金沢工業大学虎ノ門大学院客員教授日本アイ・ビー・エム、ガートナージャパンを経て2005年6月より独立。東京大学工学部卒業、米MIT計算機科学科修士課程修了。弁理士、技術士(情報工学)。主な訳書にヘンリー・チェスブロウ『オープンビジネスモデル』、ドン・タプスコッ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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