完全なDX21実現に向けて避けて通れない問題
公共的な領域も含めたDX化が実現した社会の未来について、成田氏が出した本が『22世紀の民主主義 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』である。ベストセラーになった著書の中で成田氏は、DXが実現した国家の姿を描いている。
その実現に向け、私たちには継続的な努力が求められている。もっとも、その前に立ちはだかる壁は多い。何が最適なのかを判断する以前に、判断に必要なデータを記録しておらず、そもそも存在していない、使える形になっていない。これが現状である。
私たちが怠惰だからではない。アナログな手続きや規制が意思決定を実行するスピードを阻害しているからだ。データが揃わず、プロセスはゆっくりとしか進まない。これでは意思決定の最適化どころではない。そして壁を乗り越えなくてはならないのは企業だけではなく、行政も同じだ。
その中で成田氏は教育分野を例に挙げ、2019年から全国の児童・生徒1人に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備するGIGAスクール構想について触れる。子供たちの学習ログがたまれば、そのデータに基づいてそれぞれに最適化した学習計画を提供することができると期待されている。だが、その実現に向けての問題は山のようにある。
データ設計や連携、プライバシーやセキュリティなど、動画内で成田氏はあらゆる課題を挙げ、その中で「足元の泥臭い仕事から逃げるわけにはいかない」と話す。
成田氏によれば、今の私たちはDX22の未来像が示す理想の実現に向けた下積み期間だという。暗く長いトンネルの中を進んでいる。私たちが現場で取り組んでいることを共有しながら、目の前に立ちはだかる多くの壁を乗り越えていくことが、DX22に向けた第一歩になっていくだろう。
繰り返しになるが、今回の記事で取り上げた動画は10月3日より開催予定のパロアルトネットワークス主催オンラインイベント「Ignite 22 Japan」でも視聴可能だ。そのほかDXだけでなく、サイバーセキュリティに関する充実した講演も予定されているため、興味がある読者はぜひ登録してみてはいかがだろうか。
パロアルト主催!豪華登壇者によるDX&セキュリティイベント開催!
2022年10月3日から12月25日にかけて、オンラインイベント「Ignite 22 Japan」が開催されます。米イェール大の成田 悠輔氏をはじめ、多くの豪華メンバーが登壇予定となっております。ご興味を持たれた方は、ぜひ開催スケジュールを確認の上、イベント公式サイトよりお申し込みください。