「市民向け」と「内部向け」の両輪で進めるDXの全貌
柏市は、住みやすさなどが評価され人口は増えている。とはいえ日本全体での人口減少もあり、同市でも2025年をピークに人口が減少に転ずると予測されているのだ。人口が減れば、働き手も不足する。人手不足の中でも住民サービスの質を落とさず、安心、安全に暮らせる柏市を実現するには、デジタル技術を活用したDXは欠かせない。そのため柏市では、デジタル化、DXに力を入れている。その動きは2021年11月に太田和美氏が市長に就任して以降、さらに加速しているのだという。太田市長は日頃の業務でもタブレットを使用するなど、率先してデジタル技術を活用している人物だ。
「柏市DX推進ガイドライン」では市民向けと、市役所など行政の業務の効率化につながる内部向けとなる、2つのDXを掲げており、柏市 企画部 DX推進課 副参事の畝山英晴氏は「両輪で取り組むことがミッション」だと話す。
市民向けDXでは、たとえばオンライン申請の拡充に力を入れている。さらに、2022年12月からは窓口の支払いでキャッシュレス決済にも対応した。住民票の発行など市役所手続きの手数料は、これまで現金でしか支払えなかったが、コロナ禍でキャッシュレス決済が定着。市役所の手数料が現金でしか払えないのは、市民にマイナスの印象になることもある。「市民の満足度を向上させるには、たまにしか市役所に来ない人のイメージが大事です」と畝山氏。そのため2022年度から市役所内でのキャッシュレス決済の導入に取り組み、早くも2023年2月にはすべての拠点で利用可能になる。
迅速にキャッシュレス決済を導入できた背景には、2022年4月に策定したDX推進ガイドラインの存在が大きいという。これは太田市長が就任する前から作成してきたもので、職員自らが勉強して作ったものだ。ガイドラインでは、市民のためのDXとして「つながる市役所」をキーワードにしている。「市民と柏市役所がオンラインやクラウドで常につながり、それが安全であることで市民の方々に安心感を持ってサービスを利用してもらいます」と畝山氏は言う。