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「デジタルノーマル期」を目前にした旭化成が考える、“本当に役に立つ”IT部門の役割とは

「ガートナー アプリケーション・イノベーション&ビジネス・ソリューション サミット」レポート

 2023年で101歳、レガシー企業である旭化成が攻めのDXで注目を集めている。「IT部門の役割が、従来のシステム開発・運用から変わりつつある」と語るのは、デジタル共創本部 IT統括部長の寺田秋夫氏だ。 6月半ば「ガートナー アプリケーション・イノベーション&ビジネス・ソリューション サミット」に登壇した寺田氏は「デジタルノーマル期を目指してIT部門の果たすべき役割と風土改革」と題して講演。同社の取り組みを紹介した。

多角化経営によりシステムが乱立

 寺田氏はまず、旭化成の成長の歴史と、それにともなって生まれたIT課題について説明した。同社は1922年に創業して以来、総合化学メーカーとして成長。1970年代からはマテリアル領域に加えて、住宅領域やヘルスケア領域へも参入し、多角化経営を推進してきた。

 2003年には純粋持株会社制へ移行し、多様な事業を独立させて個々に展開。近年、海外企業の買収も相次いだことで、結果、システムが乱立してしまう。その後、2016年に再度、事業持株会社制に戻ると、グループ全体としてデジタルをどう活用していくかという課題が浮き彫りになった。

 「多角化経営は強みにも弱みにもなる」と寺田氏は言う。強みは、競合他社にはできない基盤投資や運営が可能なこと。一方、弱みは事業ごとの固有システムが多く、標準化が進めにくいこと。多様なデータを有することも本来は強みになるはずだが、データをどう扱うか、どの範囲へ共有するかといったデータマネジメントやデータガバナンスの整理が追い付かなければ宝の持ち腐れになってしまう。「せっかく図体が大きくても、個々の事業が独立していれば、中身は単なる小さな足し算になってしまう。多角化経営を本当の強みにするには、デジタル活用が欠かせない」と見解を示した。

 旭化成はデータ活用に関する取り組みの一つとして、グループ共通のデータマネジメント基盤「DEEP」を構築し、2022年4月から本格稼働させている。

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旭化成 デジタル共創本部 IT統括部長 寺田秋夫氏

デジタル変革のためのロードマップを策定

 2016年に事業持株会社に移行して以降、すぐにDXに着手したものの、スムーズには進まなかったという。そこで2020年にデジタル変革のロードマップを策定。DXの取り組みを「デジタル導入期」「デジタル展開期」「デジタル創造期」「デジタルノーマル期」の4フェーズに分け、段階的にDXを進めている。2024年には全従業員がデジタル技術を活用し、新しい社会価値を創造していける最終フェーズ「デジタルノーマル期」に入ることを目指している。

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 ロードマップを実現するためにいくつかの重点施策がある。一つは事業部との連携強化。まず、全社横断でDXを推進する組織として、デジタル共創本部を2021年に立ち上げた。さらに事業バリューチェーンに沿って、営業・マーケティング・顧客支援をITでサポートするCXテクノロジーセンター、研究・開発をITで支えるインフォマティクス推進センター、生産・製造・物流の課題をITで解決するスマートファクトリー推進センターという3つのセンターを配置し、横断的に各事業部を見られるようにした。また、事業部ごとにDXの方針策定をするDXリレーションシップ・マネージャーを配置し、各事業部とデジタル共創本部の連携を強化。他には旧来型のIT部門とデジタル共創本部の連携強化やアジャイル体制の構築も進めているという。

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DXを成功させる3つの要件

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この記事の著者

古屋 江美子(フルヤ エミコ)

フリーランスライター。大阪大学基礎工学部卒。大手通信会社の情報システム部に約6年勤務し、顧客管理システムの運用・開発に従事したのち、ライターへ転身。IT・旅行・グルメを中心に、さまざまな媒体や企業サイトで執筆しています。Webサイト:https://emikofuruya.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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