仮想化やクラウド対応が求められる今後の運用管理
昨年秋からの景気低迷により、企業のIT 投資は大幅な抑制傾向にある。その一方で運用管理製品については積極的に投資している企業も多いという。そこには運用管理製品の導入によって、IT をより効率的に活用したいという企業の考えがあるからだ。
効率的な運用が求められる背景にあるのは、IT 投資抑制だけではない。クラウド時代を見据え仮想化技術などの新しい技術の導入も理由の1つである。クラウドが普及すると、ITは所有するものから、必要なときに必要な分だけ利用するIT へと変化する。このように、システムの利用形態はサービス利用を含めて多様化の時代へと変化している。
クラウド化と同時に進められているのが、仮想化技術によるサーバー集約だ。サーバーが集約されると物理サーバーそのものの台数は減るが、1 台の物理サーバー上に複数の仮想マシンが構成され、管理は大規模化・複雑化する。そのため、企業では、これまで以上に負荷や優先度に応じたリソースの再配分、徹底したリソースの有効活用ができるような仕組みが必要になる。そのためにも仮想化に対応する、複雑で高度な運用業務を効率化できるツールが求められている。
日立の統合システム運用管理「JP1」は、1994年にUNIXのジョブ管理ツールとして誕生して以来、常に顧客のニーズを先取りする形で進化してきた。2009年6月に販売開始された最新バージョンJP1Version 9(以下、JP1 V9)では、Flexible & Smart な運用をコンセプトに、ITリソースの柔軟な活用や運用業務の効率化の要件に応える機能が搭載されている。
現状のシステムに手を加えることなく監視
企業システムを集約化し効率的なリソース活用をするには、システムの現状を把握したうえでITリソース計画を建てることが重要だ。しかし運用担当者の多くは、稼働状況把握のためにツールを導入することについて「正常稼働している現行システムに手を加えたくない」「全サーバーに監視ツールを導入すると手間とコストがかかる」という問題意識を持っている。JP1 V9 では、このような課題を解決するツールとして、エージェントレス監視の機能をサポート。これにより、稼働中のシステムに手を加えることなく現状を把握できるのはもちろん、サーバーの増設や仮想マシンを追加した場合でも、すぐに稼働監視が可能。動的に変化するシステムでも監視が継続できるというわけだ。大幅なコスト削減も可能になる(図1)。