大手ベンダーにForce.comネイティブアプリを作って欲しかった
「ずっと世界のトップ10に入るようなソフトウェアカンパニーと仕事をしたいと考えていた」。Dreamforce 2009の2日目のキーノートに再び登壇したCEOのマーク・ベニオフ氏は、クラウドのプラットホームであるForce.comを提供して以来の思いを述懐した。「彼らにForce.comのネイティブアプリケーションを書いて欲しい」という願いは、ここ最近になり実現しはじめている。この日はトップ10企業のうち2社のCEOが来場した。
20年以上にわたり企業のITサービス運用管理ソフトウェアを提供するBMC SoftwareのCEO ロバート・ビーチャム氏はその一人だ。同社では、企業ITサービスのライフサイクル管理ツール「Service Desk」を、Force.comのネイティブアプリケーションとして再構築した。Force.comへの載せ替えは、わずか2ヶ月足らずで実現。完成したツールのダッシュボード画面は、カスタマイズによりパーソナライズも可能。Visualforceで開発されたユーザインターフェイスから豊富な機能を利用できる様子が、デモンストレーションされた。
「クラウドでコストを下げることができる」とビーチャム氏は断言する。Force.comであれば開発時にサーバーやOSなどのインフラを一切気にする必要がない。製品そのものだけに集中できることは大きなメリットだろう。Force.com上で構築されたBMC Service Deskは、2010年の第二四半期には提供を開始する予定だ。ビーチャム氏のコメントを受けて、ベニオフ氏が「BMCができるならば、みなさんの会社でもできると思いませんか。いま、.NETやJavaで開発を行っているのなら、Force.comですぐにアプリケーションを作ることができますよ」と会場に語りかける場面も見られた。
マルチテナントのカーネル。顧客の要望をもとに強化を行っているセキュリティ機能。99.999%という稼働率を誇る信頼性。平均アクセススピード300ミリセカンドの処理スピード。わずか5分の停止時間でのアップグレード。「ハードウェアやアプリケーションサーバー、データベースを選ぶ必要はない。これらの作業からの解放は、開発のスピードにもつながる」と、クラウドプラットフォームとしてのForce.comの完成度の高さについて同氏は自信を示した。
もちろん、名物となったベニオフ節は今回も炸裂。「先日参加したOracle OpenWorldでは、高価なExadataのマシンがライトを点滅させて展示されていた。私には、Oracleがクレイジーなものを顧客に示しているとしか思えない。多くの顧客はハードウェアやソフトウェアのメンテナンスにもうお金を払いたくない。イノベーションにこそ投資したいのだ」という同氏の発言に対しては会場から大きな拍手が巻き起こった。