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「3年で100社」富士通のソブリンクラウド、責任者が語る“富士通の強み”は 先行するNRIをどう見る

ソブリンクラウド市場の見通し、Oracle Alloyを選んだ理由

 富士通は、2025年春に日本で「ソブリンクラウド」を提供する。ベースとするのは「Oracle Alloy」。分散クラウドを進めるOracleが、顧客やパートナーのデータセンターに設置して、OCIとまったく同じクラウドを提供できるプラットフォームだ。Oracleが9月、米ラスベガスで開催した「Oracle CloudWorld 2024」にて、富士通 SEVP システムプラットフォーム 執行役員の古賀一司氏に話をうかがった。

なぜ富士通がソブリンクラウドに? その狙いとは

──富士通がソブリンクラウドを提供する理由、背景について教えてください。

 クラウドでは、複数のクラウドとオンプレミスを使い分ける「ハイブリッド」で進めていく戦略をとっている。しかし、その戦略を進めていく上では、一部のユースケースで課題もあった──「富士通クラウド(FJcloud)」を利用するお客様は、ローカルのクラウドとしての運用の透明性などに魅力を感じていただいている。しかし、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureといったハイパースケーラーが提供する様々な機能も使いたい、という声だ。これに対応したいと考えた。

 たとえば、自社にとってピークにあたるためシステムを止めたくない曜日があるとする。オンプレミスならば、「この曜日にパッチはあてない」というポリシーを自分たちで作り、運用すればいい。しかし、ハイパースケーラーのクラウドでは、パッチ適用のタイミングをコントロールできないため、ピークに重なる可能性がある。

 また、地政学の観点から、経済産業省や情報処理推進機構(IPA)などがクラウドの機能活用の一辺倒ではなく、日本国内でデータを持つ、つまり「ソブリニティ(主権)」を確保しなければならないという動きが強まっている。経済安全保障推進法における「特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度」では、15の対象事業が指定されており、対象システムの設置場所といったデータ所在や準拠法の明確化などが必要である。一方、ハイパースケーラーのパブリッククラウドは、海外の法律に準拠しており、たとえば米国から監査を要求されることも可能性としてゼロではない。そこに対応したかった。

 2022年のOracle CloudWorldで、Oracleが「Oracle Alloy」を発表したときに、これが解決策になるのではと感じ、Oracle側と話し合いを持った。そこから話を進めていった。

──具体的にどのようなことを話し合ったのでしょうか。

 日本のソブリンクラウドへの対応が中心だ。弊社が必要と考える、ソブリンクラウド要件の情報をOracleのシアトルの開発部門と直接相談し、すべて対応してもらった。この中には、データをどのように保持するのか、機密性を担保するのかなどが含まれる。「日本国籍を持つ人が日本でサポートしなければならない」という体制の整備もある。

──そのように開発した、富士通のソブリンクラウドはどのような特徴を持つのでしょうか。

 OracleがOCI(Oracle Cloud Infrastructure)として提供するパブリッククラウドの豊富な機能群と、富士通が自社クラウド事業で培ったノウハウを活かした“運用の透明性”を組み合わせる。富士通のマネージドインフラサービス「FUJITSU Cloud Managed Service(FCMS)」により、IT環境を統合管理できるようにする。

参考資料(提供:富士通株式会社)
参考資料(提供:富士通株式会社)
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 特徴は大きく3つ。1つ目は「機能性」。Oracle Alloyは、OCIが持つ100以上のサービスをそのまま利用できるため、お客様は既存の環境を維持しながらクラウドに移行できる。

 2つ目は「運用の透明性」。富士通が運用するため、お客様はアップデートやパッチをコントロールできる。

 3つ目は「ソブリニティ」への対応。データと運用においてソブリニティを確保できる。富士通が国内で運用するデータセンターにてサービスを提供するため、データがどこにあるのかが明確だ。また、Oracleは米国の会社なので、OCIは米国の法律に準拠しているが、Oracle Alloyは国内法に準拠できる。

参考資料(提供:富士通株式会社)
参考資料(提供:富士通株式会社)
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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

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