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【日清食品×楽天】社内にデータ活用を浸透させる第一歩は“共通言語化” 両社が実践する人材育成術とは

自社のデータドリブン経営が成功しないのはなぜか?両社が直面した課題とその打開策を明かす

「部長、まだ触ってないんですか?」若手の吸収力を活かした教育

 データドリブン経営の舵取りについて、日清食品では経営トップが明確な意思を示している。同社は創業70年以上の老舗だが、「以前よりも不確定要素が増す現代では、データで判断し、データで説明し、データで意思決定ができなければグローバルカンパニーとして生き残っていくのは難しい」とトップが社内に意思を示したという。

 それを実現するための具体的な方法として、トップは2つの提言をした。1つ目は、デジタルを最大限に活用して業務を標準化し、自動化を進めて作業工数を削減すること。2つ目は、データドリブンを徹底すること。勘や経験で業務を語るのではなく、データの裏付けがある意思決定を社内に呼びかけたのだ。

 一方、楽天はDXやAI活用に関して、既にトップから大きな声が出てはいるものの、「AI活用の基礎となるデータ基盤が必要」と高橋氏。啓発やリテラシーの向上においては、ミドル層のメンバーが重要性を理解する前に、吸収力が高い若手や新社会人のリテラシーを先に上げてしまうのも一手だと語る。

 「若手から『部長、まだ触ってないんですか?』と言ってもらえるくらいの勢いも大事だと思います」(高橋氏)

楽天グループ株式会社 執行役員 エンターテインメントコンテンツ事業ヴァイスプレジデント 高橋宙生氏

「自分がラーメン屋になったら」を想定する育成術

 ファイナンシャルリテラシー向上の具体的な手法として、楽天では「ラーメン屋になったら」というシミュレーション課題を新人研修で出している。どのエリアにどれくらいの広さの物件を借り、内装費にどのくらいのコストをかけ、そのためには銀行から何円借りる必要があるのか。オープン後は、お客様を1日に何回転させて単価いくらのラーメンを1日に何杯売れば、儲けが出るのか。そういった事業のシミュレーションを、参考書も用いながら机上で行うのだという。経済を専門的に学んでいなければ、売上や利益、販管費などを意識できる新入社員は少ない。「ティッシュ1つ配るのにいくらかかるのか」という感覚、いわば経営的センスを身につけてほしいと高橋氏は述べる。

 日清食品でも、データ分析の基礎やBIツールの使い方、Pythonなどの研修を社内で行っている。その意図として、「今まで教育機会がなかった従業員にもスキルを身につけてもらい、そこからカルチャーを醸成していく狙いがある」と成田氏。Python研修の講師は、学生時代に専門的に学んできた新卒社員が担当している。当初はIT部門向けに実施していたものを、全社向けに展開してもらうよう依頼したところ、定員30人の枠に、わずか2日間で200人以上の応募が殺到。非IT部門からのニーズの高さを痛感したという。

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日清食品が進める“全社統合データベース”

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この記事の著者

古屋 江美子(フルヤ エミコ)

フリーランスライター。大阪大学基礎工学部卒。大手通信会社の情報システム部に約6年勤務し、顧客管理システムの運用・開発に従事したのち、ライターへ転身。IT・旅行・グルメを中心に、さまざまな媒体や企業サイトで執筆しています。Webサイト:https://emikofuruya.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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