SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

週刊DBオンライン 谷川耕一

Inforが突き詰める「業界特化型」ERP、生成AIでも変わらない“ニッチな”アプローチの価値とは

「Infor Velocity Summit in Amsterdam」現地レポート

生成AI機能も「業界特化」にすることで価値につなげる

 Inforでは、すべての製品に適用できる「3つの戦略」を新たに掲げている。

 1つ目の「プロセス・インテリジェンス」「プロセス・プランニング」は、常にプロセスを観察することで効率化の機会を見つけるためのプロセスマイニング機能だ。2つ目は「自動化」で、プロセスを実際に自動化することで、人が反復作業をする必要をなくす。そして3つ目が「AI」、従来の機械学習と生成AIの両方をERPの中で活用していく。

 これらを実現するための環境は、既にInfor OSとしてクラウド上にプラットフォーム化されている。たとえばプロセスマイニングの実現には、プロセスの状況を把握するためのデータが必要だ。外部との連携部分ではAPIも欠かせない。自動化も同様だ。ソマスンダラム氏によれば、これらはInfor OSに少々手を加えるだけで実現可能だという。

 Inforでは、Infor CloudSuiteを構築する際のクラウドプラットフォームをAWSに定めている。AWSのさまざまなサービスを利用することで、セキュリティやデータ活用基盤、APIなどをInfor OSとして実現し、その上に業界特化型のERPを実装したような形だ。そのため、AWSの便利なサービスと容易に連携できる点も特徴だろう。

 たとえば、Infor ERPで機械学習を実現するために「AWS SageMaker」を利用できる。また、生成AIの機能を実装したければ、「Amazon Bedrock」を利用可能だ。生成AIに対して、多くの企業が投資しているが、その成果をビジネスに反映できているケースはまだ少ない。「機械学習と同様、生成AIで成果を得るために多くの企業が苦労しています」とソマスンダラム氏は指摘する。

 では、Inforではどのように生成AIを価値につなげていくのか。その方法は、ERPと同様だ。業界特化型の生成AI機能を実装するため、Infor ERPのデータを用いて、Amazon Bedrockで実現していく

Infor CTO ソマ・ソマスンダラム(Soma Somasundaram)氏
Infor CTO ソマ・ソマスンダラム(Soma Somasundaram)氏

 2024年10月に提供開始された「Infor GenAI Agent」は、自然言語によるチャット形式で、単にERPのデータについて問い合わせができるにとどまらない。たとえば、ダッシュボードに表示されている内容から、問題だと思われる事項を調べたいときには、チャットで質問を投げかけると、その原因を究明してくれる。このとき、問題を解決するためのアドバイスもくれるという。

 こうした一連のやり取りを、アプリケーションを切り替えることなく、1つの画面から自然言語の対話で実現できる。もちろん、Infor GenAI Agentは、どんな質問にも答えられる汎用的な生成AIエージェントではない。Infor ERPで取り扱う、ビジネスプロセスに特化した質問に答えるためのものだ。業界に特化することで精度の高い回答が可能となり、アドバイスまで提供できる。

 いち早く汎用的な生成AIの機能を全社導入し、なんらかのビジネス価値を得ようとしても、うまくいかない企業が多いことが現実だ。業界に特化したベストプラクティスをもつInforが業界知識・ノウハウをうまく取り込んだ生成AI機能を実装するとで、ERPはより使いやすいものになり、効率化できるプロセスの発見、自動化なども容易になるだろう。特定の業界を深く理解するというアプローチは、生成AIの活用においても有効そうだ。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
週刊DBオンライン 谷川耕一連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/20708 2024/11/15 10:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング