CFO組織は「社内アクティビスト」へ進化せよ
続いて若林氏が、J.フロント リテイリングの事業構造と財務戦略について熱く語った。同社は2007年に大丸と松坂屋が経営統合して設立された純粋持株会社。2020年にはパルコをグループに迎え入れ、百貨店事業、ショッピングセンター事業、デベロッパー事業、決済金融事業の4つのセグメントで事業を展開している。
若林氏は次のように説明する。「2017年度よりIFRS(国際会計基準)を採用しました。これにより売上高の計上方法が変更され、見かけ上の売上高は減少しましたが、利益面では安定的な成長を遂げてきました」(若林氏)
CFO組織の変革については、経理財務部門の役割が時代とともに劇的に変化していることを指摘した。
「2000年以前は『社内会計士』的な役割が中心でしたが、2000年から2020年頃には『社内アナリスト』としての機能が求められるようになりました。2021年以降は『社内アクティビスト』としての役割が期待されています」(若林氏)
さらに若林氏は、同社の財務・経理人財の今後の構成についても語った。
「現在、ホールディングスと事業会社を合わせて約300名の人財がおり、そのうちホールディングスが約10%、残り90%が事業会社に所属しています。今後は、ビジネスパートナー(BP)、センターオブ・エクセレンス(CoE)、オペレーショナル・エクセレンス(OPE)の3層構造にし、特にBPの割合を増やしていきたいと考えています」(若林氏)