日立製作所のナレッジが「Oracle Database@Azure」の真価を引き出す
日立製作所は、長年にわたってミッションクリティカルシステムの構築・運用に関する知見を蓄えており、基幹系システムにおけるデータベースのワークロードとはどのようなものかを十分に把握している。たとえば小さなトランザクションが大量に発生するOLTP、それも限られた時間内に大量データを処理するバッチ処理が必要なケースがあるとする。このときネットワークのレイテンシーは、OLTPでは大きな影響こそ受けないものの「大量データをやり取りするバッチ処理では、少しの遅延が大きな問題となることがあります」と片山氏。アプリケーションによっては、データベースとの通信が数多く発生してしまう。つまりOracle Database@Azureがマイクロ秒レベルのレイテンシーを確保できるとはいえ、大量の通信が積み上がっていくことで、結果として大きな遅延になりかねない。

だからこそ、サーバーやネットワークスイッチが同じラックにある環境との違いは何か、処理が何十万回と繰り返されるとバッチのワークロードにどのような影響が及ぼすのか……ミッションクリティカルシステムをOracle Database@Azureで動かすためには、それらを明らかにする必要がある。加えて、Oracle DatabaseやMicrosoft Azureの専門知識がどれだけ必要なのか、そうした点もあわせて見極めなければならないと片山氏は指摘する。
そこで日立製作所は可用性ゾーンやネットワーク環境などを変更しながら、さまざまなパターンで検証を実施。レイテンシーにどのような影響を及ぼすのか、再現性の高い提案をする上では極めて重要だ。特に日立製作所にはOracle Databaseの専門技術者が揃っており、Oracle Database@Azureの検証結果が明らかになれば、より踏み込んだ提案も可能になる。
実際に日立製作所は、これまでのミッションクリティカルシステムの構築・運用実績、Microsoft AzureやOCIの知見、そしてOracle Database@Azureの検証結果などから得られた技術ノウハウを活用し、新たに「クラウド移行支援サービス for Oracle Database」を提供することを2025年3月に発表した。同サービスで基幹系システムのクラウド化が進めば、多くの企業が課題としている「マルチクラウド運用」「データ活用」の進展も期待できる。今まで活用できなかったミッションクリティカルシステムに蓄積されたデータを用いて生成AIなども活用できれば、ビジネス価値の創出にもつなげられるだろう。

もしMicrosoft AzureのIaaSで稼働しているデータベースのワークロードで課題を抱えている場合は、Oracle Database@Azureを検討してほしいと田子氏。オンプレミスや他社クラウドのデータベースワークロードに課題を抱えているなら、Oracle Database@Azureは有力な選択肢になるとする。また、Oracle Database@Azureにある基幹系システムのデータをPower BIやFabricのCopilotを使って自然言語で分析できることはもちろん、“インフラやアプリケーションのモダナイズ”という新たな展望も描けると松森氏は加える。
「Oracle Database@Azureは、大規模なミッションクリティカルシステムをクラウド化するための待望のサービスと言えるでしょう。今後は日本オラクルと日本マイクロソフトの3社での協業を深化させていきます」と森中氏。日立製作所の検証によって、より最適なベストプラクティスを提供できるようになり、これを契機として日本企業のデータ利活用がさらに前進していくと期待を寄せる。

日立製作所だからこそ実現できる! 「Oracle Database」のクラウド移行
日立製作所では、本稿で紹介した「Oracle Database@Azure」をはじめ、課題となっている「Oracle Database」のクラウド移行を適切に実現するための独自サービス「クラウド移行支援サービス for Oracle Database」を用意しています。長年にわたりミッションクリティカルシステムを支援してきたエキスパートにより、移行要件のヒアリングから設計・構築、移行までを一貫して支援。移行コストの低減を実現します。