1日2,000件以上も 全行員が生成AIを当たり前に使う環境へ
常陽銀行のDX戦略を加速させる強力なエンジンとなっているのが、全行員によるAzure OpenAI(GPT-4o)の活用だ。銀行業務は文書作成の比重が高く、融資業務では膨大な資料を基に判断する場面も多い。また、業務効率化による人員体制の変化や年齢構成の偏りから、若手行員への知識・ノウハウ継承も課題となっていた。
「できるだけ早く、できるだけ多くの行員に、できるだけ最新のAIを実際に使ってもらうことで、当事者意識と興味関心を持ってほしかった」と丸岡氏。その結果、現在では1日最大2,000件以上のチャット利用があるという。従業員数約3,000名の組織としてはかなり高い浸透率といえるだろう。

常陽銀行のChatGPT利用状況を可視化したグラフ
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成功の秘訣は、「シンプルな見た目と徹底的な可視化」にある。行内ポータルサイトには分かりやすいアイコンを設置し、ワンクリックでAIとの対話を始められる仕様。さらに利用状況をダッシュボードで公開することで組織全体の関心を高めている。
活用内容は文章校閲、用語調査、翻訳、アイデア出しなど多岐にわたる。業務別では文章の添削・構成、翻訳、スピーチ案作成などに利用されているようだ。

バンキングアプリ同様、「一気に理想形を目指すのではなく、アジャイルに成長させる」というアプローチがAI活用にも通底している。キーワードは民主化。ユーザーを置いてけぼりにせず、誰もが日常的に活用できるツールにしていくことで、組織全体の変革を促している。