ジャパンシステムは2025年5月7日、宮崎県より受託していた「社会福祉施設等の指導監査計画・管理の一元化」実証事業の結果について発表。同事業では「指導監査システム」を活用し、指導監査業務における対象施設の抽出、事業者との連絡、庁内外への報告といった一連の業務システム化を検証し、合計で約2,050時間の作業削減および業務効率化が確認されたとしている。なお、同事業の対象業務は、指導監査、指導検査という名称で各都道府県、指定都市および中核市で広く実施されているものとのことだ。

同事業は、宮崎県庁と事業者間を横断したデータ連携プラットフォームである指導監査システムを構築し、業務効率化の効果を検証する試み。令和4年度に実施した旧実地指導、指導監査を行った事業所を対象に、当時提出された事前提出資料、実施通知、結果通知などの情報をシステムへ入力した。事業所側の操作は県職員が実施し、宮崎県および指導監査対象となる施設における業務効率化を検証したという。対象施設と事業期間は以下のとおり。
- 対象施設:障がい者支援施設
- 事業期間:2024年11月~2025年3月
同事業で得られた成果
1. 指導監査対象施設リストの作成業務自体の削減(年間約275時間の削減)
従来は、庁内の各部門で施設に関する業務データが個別に管理されており、指導監査対象施設リスト作成の際には、職員が手作業でExcelなどの各データを取りまとめ、突合・統合する必要があった。そのため、年間で約275時間の作業が必要になると想定されていたという。今回のシステム導入により、CSVファイルをシステムに投入するのみで、対象施設のリスト作成ができるようになり、同作業が削減されることを確認したとのことだ。
2. 監査結果の取りまとめ作業の削減(年間約1,790時間の削減)
これまで、事前提出書類と現地監査結果を手作業で取りまとめ、事業所への結果通知書および国への提出書類を作成していた。各事業所からの提出物や監査実績を同システムに入力し一元管理することで、報告書が自動作成される仕組みに。その結果、従来約5,120時間かかっていた取りまとめ作業の時間を約35%削減できることが確認されたという。
3. 事業所との連絡および情報照会業務の効率化
事業者と連携する業務において導入時のシミュレーションを行った結果、システム化により事業所への通知作業や住所確認の手間と郵送コストの削減、事業所とのやりとり自動化による時間短縮、監査実施先の選定漏れ防止が実現されることを確認したとのことだ。
同事業で得られた結果から、ジャパンシステムは社会福祉施設をはじめ、定期的な指導監査や検査、情報収集が必要な類似業務(消防、医療、薬事、衛生、保育施設、介護などの立入検査業務)においてもシステムを活用した業務効率化が可能だと述べている。
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