SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Enterprise IT Women's Forum 2025 KANSAI

2025年9月2日(火)大阪開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2025年春号(EnterpriseZine Press 2025 Spring)特集「デジタル変革に待ったなし、地銀の生存競争──2025年の崖を回避するためのトリガーは」

成果を生み出すためのSalesforce運用

多くのSalesforceユーザーが「パッケージに合わせて業務を変えられない」理由

「Don't DIY」が警告する自作システムの限界

 ここで、「パッケージに合わせて業務を変える」ということの本質を改めて整理しておきます。それは、Salesforceなどパッケージ機能を利用しろということでもなければ、目指すプロセスが実現できるなら標準でもカスタムでも手段はなんでもいい、という話でもどちらでもありません。

 筆者自身、過去にはSalesforceが標準で提供する商談機能を使わず、そのライセンス費用が高いからと自作した経験があります。初期コストが少しかかるだけで、ただデータを管理する画面とデータベースを揃えるだけであれば、技術的にもあまり難しいことではないと感じたからです。

 すると、商談管理のプロセスが一定システム化できた頃、受注を伸ばすためには集客に関するシステムの課題が出てきたのです。Salesforceは、マーケティングからサポートまでカバーする機能を2010年代から持っていましたから、標準機能を使っていればすぐに拡張することができました。

 しかし、商談管理部分をカスタムしてしまっているので、隣のキャンペーンの仕組みも自作する羽目になり、データの受け渡しも連携開発になり・・・と結果的にシステムを用意するだけのために時間もコストもかけることになりました。

 本来は、キャンペーンの管理を通じて、ROIの高い施策を見つけたり、施策に反応した見込み客を少ないリードタイムで追客して商談機会を得るなど、システムを用意することよりも、その後に展開するPDCAの方が重要だった訳です。システムを機能で捉え、ビジネスプロセスの視点で捉えなかったことが原因です。

(筆者作成) [画像クリックで拡大]

 「Don't DIY Your AI」――Salesforce社が昨年から度々打ち出しているこのメッセージの中にも同様の課題意識への示唆が込められています。これは、単純な内製批判でも、カスタム批判でも、ポジショントークでもないように思います。

 AIのような新しい技術にしろ、すでに利用中のシステム改善にしろ、ビジネスへの投資である以上は価値を創出し、そのタイミングを早めていくことが重要です。

 そのためにも、テクノロジーを点で取り入れるのではなく、いかにそれを活用できる自社の業務構造や情報資産をつくり差別化していくのか?そして、そのために自社にはどんな基盤が必要で、何を外部のマネージドなサービスを活用するのか?自社は何に注力をするのか?

 このテーマ自体は、生成AI時代に生まれた問いではなく、テクノロジーと経営を考える上ではこれまで同様、普遍的で重要な、向き合うべき問いであると言えるでしょう。

この記事は参考になりましたか?


  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
成果を生み出すためのSalesforce運用連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

佐伯 葉介(サエキヨウスケ)

株式会社ユークリッド代表。SCSK、フレクト、セールスフォース・ジャパンを経て、2019年にリゾルバを創業。2023年にミガロホールディングス(東証プライム)へ売却。著書『成果を生み出すためのSalesforce運用ガイド』(技術評論社)。一般社団法人BizOps協会エキスパート。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/22151 2025/07/16 09:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング