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ビジネスの現場や社会インフラで革新を生むクラウドを目指す

~クラウドの適用領域拡大に挑む富士通~

既存のITシステムでの活用にとどまらず、ビジネスの現場や社会インフラにおいても、クラウド・コンピューティングのメリットを訴え、最適な組み合わせが可能な技術/サービス群を提供していく。富士通が先ごろ打ち出した新しいクラウドビジネス戦略を見ると、現在、メイン領域となっている「ITシステムのためのクラウド」は、このパラダイムのほんの一側面にすぎないようだ。今回は、新戦略の概要と、富士通のクラウドの強みについて、同社クラウドビジネス企画本部 本部長の阪井洋之氏に話を聞いた。

コア組織の下で、富士通の新たなクラウドビジネスが始動

― 今年5月にクラウドコンピューティンググループが発足し、同部署を核とした富士通グループの新しいクラウドビジネス戦略が、スタートしています。その背景や経緯について聞かせてください。

 企業ICTシステムにおけるSaaSやクラウド活用の高まりを受け、当社では多くの事業部門やグループ会社がこの分野の推進部門を個別に立ち上げて展開してきました。今回設置したクラウドコンピューティンググループは、そうした様々な事業部門をうまく連携させながら、富士通グループ全体の戦略を統括し、プロモーションをまとめて展開していく、コア組織という位置付けになります。

 新しい組織の下、富士通がクラウドビジネスとして手がける領域が大きく拡大されることになりました。これまで当社がメインで手がけてきた企業ICT システム分野(バック領域)のみならず、ビジネスの現場(フロント領域)や社会インフラ領域にまで、クラウドの活用を広げるというのが基本的な戦略になります(図)。
 

図:富士通グループのクラウドビジネス領域

 戦略の背景には、ビジネスの対象を既存のICT システム分野にとどめていては、この先の成長が望めないという判断があります。ICTの利活用自体が十分になされていないフロント領域や社会インフラ領域は、クラウドの適用に限らず、大きな伸びしろがあると見ています。

 新しいクラウドビジネス戦略では、対象領域の拡大に加えて、グローバルへの展開も進めています。大規模なビジネスですから、個別にバラバラに行っていてはうまくいきません。様々なリソースを組み合わせて、富士通グループ全体で挑む必要があります。そこで、クラウドコンピューティンググループをコアに、複合体としてクラウドビジネス全体を推進していくという体制がとられたわけです。

次のページ
継続して強みを発揮していくバック領域と新マーケットのフロント/社会インフラ領域

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この記事の著者

河原 潤(カワハラ ジュン)

ITジャーナリスト 明治大学文学部卒業後、教育系出版社を経て、1997年にIDG入社。2000年10月から2003年9月までSun/Solarisの技術誌「月刊SunWorld」の編集長を務める。同年11月、企業コンピューティングの総合情報誌「月刊Computerworld」の創刊に携わり、同誌の編...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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