なぜこのタイミング?IPAがブランド刷新に込めるAI社会実装への想い 経産省とデジタル庁も駆けつける
IPA フォーラム 2026:レポートVol.1
経済産業省が「現場データ」に見出す日本の勝機
現在、世界ではAI、半導体、データ、クラウド、サイバーセキュリティといった個別の要素技術を強化するだけでなく、それらをいかに一体として整え、実際の経済社会の中で機能させるかという総合的な実装競争が繰り広げられている。
そんな中で日本は現在、人口減少や少子高齢化といった深刻な構造問題に直面していると経済産業省の門松貴氏。これに対しやるべきことは、産業構造そのものを高度化させ、付加価値と生産性を同時に高めていくための成長投資だと語る。その肝となるのが、あらゆる産業分野におけるAX(AIトランスフォーメーション)だ。
ビッグデータとAIが融合する時代、AXを強力に推進するうえで鍵を握るのが「現場データ」だという。数々の自然災害から得られる災害データや対応ノウハウ、高度な製造現場で長年蓄積されてきた高品質なデータ、超高齢化社会だからこそ豊富なヘルスケアデータなど……。これらを価値創出の源泉として活かせる土壌こそが、日本の強みである。「現場データを利活用してAIをいち早く社会に実装し、世界に先駆けてフィジカルAIやロボットの汎用的なデータを構築・成長させていくべきだ」と門松氏は訴えた。経済産業省としても、特定の産業領域に特化したAI・ロボットモデルの開発、フィジカルAIの実現に必要な国産基盤モデルの開発などを後押ししていくという。
また、AI実装を進めるうえではクラウドインフラの強化も重要だ。国としては、クラウドサービスを提供する国内事業者による技術開発や、高度なスーパーコンピューティング資源の導入に対する支援を継続して進めていくとした。
さらに、忘れてはいけないのが人材の育成と活躍である。経済産業省としても、リスキリング環境の実現に向けた個人スキルの蓄積・可視化を行う基盤整備を進めている。また、資格試験の創設・拡充など、人材分野でもIPAと密接に協力している。
齊藤氏に続き門松氏も、デジタル技術の社会インフラ化、そして全産業を横断しつつある現在の状況を指摘した。このインフラ化と横断化により、政策の対象や狙いそのものが変化し、IPAに期待される役割も大きく変容してきたという。これからは、単に個別の技術支援や人材育成を行うだけでなく、多様な立場を尊重しながらイノベーションの全体構造を設計し、各要素をつなぐ接続基盤の担い手になってほしいと、門松氏はIPAへメッセージを送った。
次の講演:デジタル庁 デジタル監 三角育生氏「サイバーセキュリティもさらなる強化へ」
この記事は参考になりましたか?
- Security Online Press連載記事一覧
-
- なぜこのタイミング?IPAがブランド刷新に込めるAI社会実装への想い 経産省とデジタル庁も...
- ただの読み物(レポート)は役に立たない──本当に機能する脅威インテリジェンスを組織へ実装せ...
- AIエージェントの過失は誰が責任を負うのか?弁護士に訊く、本格実装前に知るべきAIガバナン...
- この記事の著者
-
名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティとAI(人工知能)の分野を中心に、ソフトウェア/ハードウェアを問わず国内外の最新技術やルールメイキング動向を取材。そのほか、DX推進、IRなどのコーポレート領域でも情報を発信。※取材のご案内等は個人のメールアドレスか、EnterpriseZine編集部の問い合わせ窓口にお願いいた...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
