iPhoneの爆発的な流行、Androidの登場でますます活発になるスマートフォン市場。クラウドコンピューティングを語る上で、モバイルは切っても切り離せない。加熱するクラウドモバイル競争の裏で何が起きているのか。マイクロソフトのテクニカル・エバンジェリストの西脇資哲氏に話を伺った。
「サービス」だけのクラウドベンダーに未来はない
― マイクロソフトのテクニカル・エバンジェリストとして、現在のクラウドブームをどのように見ていらっしゃいますか?
今現在、クラウドサービスだけにスポットライトが当たっている印象を受けます。新しいプレイヤーがメディア上にたくさん出てきていることについては、受け入れざるを得ないわけですが、そもそもITの流れとしてメインフレームからクライアントサーバー、そしてインターネットからクラウドときているということをしっかり踏まえたうえで、クラウドやモバイルの世界を説明していかなければいけないと考えています。

かつて、メインフレームを変えるなどと言えば、少なくとも3 年から5年、長いときは10年がかりのビジネスというのが常識でした。また、クライアントサーバーのアプリケーションを作るといっても1年から3年くらいかかりました。それがクラウドとなると、ものすごい短期間でサービスとサービスを連携させて、いらなくなったらすぐに捨ててしまう。
ベンダー側にとっては、“キャンセル”というリスクが出てくるようになりました。キャンセルどころか、そのサービスが世の中から葬り去られるようなリスク。しかし、それはサービスしか提供していなかったり、流行だけでソフトウェアを提供しているようなベンダーに多くみられる例でもあります。エンドユーザーからすれば、そのあたりをちゃんと見極める必要があると思っています。
つまり、冒頭に述べたような、IT の歴史の流れの中でクラウドコンピューティングにシフトしてきたベンダーであるとか、クラウドコンピューティングの礎である基盤のところをちゃんと担っているようなテクノロジーを持っている企業であるかどうかという点です。クラウドと言うと、どうしてもサービスばかりに目が向かいがちですが、IT はそういう表面的なことだけじゃなくて、もっと奥深いものだと考えているので、そうした視点で技術について語っていきたいですね。(次ページへ続く)
この記事は参考になりましたか?
- IT Initiativeスペシャル連載記事一覧
- この記事の著者
-
EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア