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マイクロソフトに訊く/どうする?データベースの災害対策(バックアップ編)

DB Online 2011 May


東日本大震災を受け、企業のITシステム担当者は急ぎ災害対策や停電対策を求められている。その中でもビジネスを継続するために必要な情報が格納されているデータベースの災害対策は、もっとも優先度の高いものだろう。ところが、中堅中小規模の企業では、データベースのバックアップさえも心もとない状況にある。データベースの災害対策をどのように捉えればいいのか。クラウドコンピューティングの活用も含め、Microsoft SQL Serverの災害対策について製品担当者に話を聞いた。

UPSがあれば大丈夫?企業のITシステム担当者の認識

東日本大震災の影響で、地震からしばらくの間は都内やその周辺地域で計画停電の心配があった。それでおおいに慌てることになったのは、企業のITシステム担当者だろう。とはいえ、中小規模の企業では、そもそも専任のITシステム担当者がいない企業も多い。システム管理はシステム会社などにほぼ丸投げという企業もある。

今回、話を訊いたのは、日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部でSQL Server製品を担当しているエグゼクティブプロダクトマネージャ 北川 剛氏。

「データベースをただのデータの置き場所だと
思っている担当者も多い」(北川氏)

北川氏が、マイクロソフト製品を利用している企業に勤める知り合いに、停電対策はどうしているのかを尋ねたところ、その会社では、システム管理業務をパートナー企業に依頼しており、その企業による回答は「UPS(無停電停止電源装置)が導入されているので大丈夫」というものだった。これには、北川氏も驚いたという。

たしかに、UPSが導入されていれば突然の停電も自動検知し、内蔵バッテリーで稼働させている間にシステムをシャットダウンできる。これも停電対策に違いないが、本当にこれだけでいいのだろうか。よくないのである。

規模の大小に関わらず、多くの企業においてITシステムには重要なデータが格納されている。人事、売上、経理など、喪失すれば企業活動に大きな影響を及ぼすはず。なのに、そんなに重要なデータがどこにどうやって入っているかを把握している人は少ない。専任のITシステム管理者でもない限り、データを管理しているデータベースがどういう状態にあるかは、あまり意識されていないのだ。

北川氏によれば、「Microsoft SQL Serverが数多く利用されているような、それほど大規模ではないシステムだと、データベースを、“ただのデータの置き場所”くらいにしか考えていないことも多い」という。さらに、システムのバックアップは何らかの形でとっていたとしても、データベースとしてのバックアップをとったことがない場合も多く、大規模な企業でも、バックアップポリシーを定め、きちんとリカバリポイントを決めてシステムごとに何分前の状態に戻ればいいかを管理しているところは少ないというのだ。

「何かトラブルが起きてから、ログを見て対応するという話を、よく耳にします」(北川氏)

では、今回のような停電だけでなく、何らかのトラブルが発生した際の備えとして、どういう準備が必要なのか?

「まず、システムをどの時点まで戻せればいいのかを考える。そうすれば、そのためにどのようなバックアップをとっておけばいいのかがわかりますよね。たとえばインターネット上のECサイトのケースを考えてみましょう。ECサイトでは、24時間取引を継続しているので最低でも5分前の状態に戻りたい。そうなれば5分ごとにバックアップをとる必要があると考えるかもしれない。当たり前だが、データベース全体のバックアップは5分では終了しない。じゃあ、5分前には戻れないのか。この場合は、トランザクションログだけをバックアップしておけば、数分前の状態に戻すことができる。・・・というように考えていけばいいんです」(北川氏)

また、多くの場合、バックアップからの復旧作業には多大な時間を要する。滅多にやる作業ではないので、いざというときに正確に作業をできるかも心配だ。そもそも、取得したバックアップをどこにどのように保管しておけばいいのかも判断が難しい。今回のような広範囲で大規模な災害が発生した際には、バックアップメディアをシステムと同じ建物に保管していたのでは、バックアップメディアも被災しかねない。とはいえ、遠隔地にバックアップデータを保管すべきという発想は、今回のような想定外の災害を目の当たりにしたことがなければ、考えに至らないのも仕方がない。

次のページ
まずはバックアップを確実にとること!

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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