「大震災以後」利用が加速するデータセンター
「インターネットデータセンター(以下、データセンター)」の利用が加速しつつある。従来ニッチな存在だった「データセンター」も、今やビジネスメディアで見かけない日はないほどだ。データセンターで提供しているのは、施設のスペースを利用者に貸し出し、利用者は保有するサーバーをそこに設置する、いわゆる「コロケーション」サービスと、事業者が施設内に保有しているサーバーを利用者が借りて使わせてもらう、いわゆる「ホスティング」サービスが二本柱。
データセンターは、2000年前後に外資系のデータセンター事業者が東京都心部に集中して進出したことから「第一次ブーム」となったが、当時は日本の企業利用があまり盛り上がらず、いったんは供給過剰の冬の時代に突入した。しかし、2005年頃からその利便性や信頼性が日本企業にもようやく浸透し始めて需給バランスが改善し、以後市場は順調に拡大している模様だ。民間の市場調査機関によれば、データセンター全体の市場規模はすでに1兆円前後に達しているとされ、引き続き年率10%前後の伸長を続けて、2015年には1兆5,000億円前後に拡大するとの予測もある(図1)。
2000年~2010年頃までのデータセンターは、初期のインターネットの唯一の結節点である東京・大手町に近いことと、主なユーザーである大企業の情報システム部門がいざという時に駆けつけやすいことなどから、まずは東京都心部への立地が集中し、次いでインターネット環境の整備や用地確保の観点から同心円状に首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)に広がっていった。現在なお、全国のデータセンターの60~70%は首都圏に集中していると推測されるほどである。
そこに起きたのが、2011年3月11日の「東日本大震災」。企業の間で「BCP」の意識が格段に高まり、まず「自社ビルのサーバールームよりも、安心・安全なデータセンターに情報を預けよう」と、データセンター利用の引き合いが急増した。JUAS(社団法人日本情報システム・ユーザー協会)の調査でも、BCPの一環としてデータセンターの利用/導入を検討する企業が回答者の4分の3に達している(図2)。あわせて、「首都圏以外にもサブセンターを確保して、リスク分散を図ろう」と、遠隔地(地方)のデータセンター利用のニーズも一気に顕在化した。