「今回のSSDアプライアンスは、もともと国内ではHPと3月から進めてきた取り組みを拡充したものです」―マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 クラウド&アプリケーション製品部 シニアエグゼクティブプロダクトマネージャーの斎藤泰行氏は、今回発表した「Microsoft SQL Server SSD Appliance」は、従来はHPと取り組んできたアプライアンスのソリューションを、国産ベンダーを含む6社にまで拡充したものだと説明する。「アプライアンス」は、ここ最近のIT業界キーワードの1つ。そのメリットはだいぶユーザーにも浸透してきた感がある。そして、「SSD(Solid State Drive)」。こちらも、価格が安くなり、ハードディスクに取って替わって利用しやすくなったイメージが強い。
ハードウェアが選べる「パワー・オブ・チョイス」

今回のマイクロソフトの「SQL Server SSD Appliance」だが、これは正確にはPC用のストレージとしてちまたで普及しつつあるSSDを使用しているわけではない。フラッシュメモリ技術を活用した、SSDよりは高速でエンタープライズ向けに特化した機能を持つフラッシュストレージ・アレイ、たとえば何度かDB Onlineでも取りあげている「Fusion-io ioDrive」のようなストレージ製品を利用しているものだ。
「もちろん、マイクロソフトとしてはフラッシュストレージ・アレイとSSDは別物だということは理解しています。けれども、フラッシュメモリを活用するという製品としては、SSDのほうが一般的な認知が高いということで、あえてこのような名称にしました」(斎藤氏)とのことだ。
今回のアプライアンスは、利用するストレージはハードディスクではなくすべてフラッシュストレージ・アレイとなっている。さらに、そのフラッシュ・ストレージアレイの性能を最大限に活用するため、CPUコア数は32以上のサーバーが組み合わされている。
「この2つが今回のアプライアンス構成の必要条件であり、さらにコアあたり8GB以上のメモリ容量を推奨しています」と語るのは、サーバープラットフォームビジネス本部 クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの北川剛氏。
今回のアプライアンス製品は、まずは6社(SCSKはNECと共同で提供)で6つのラインナップが用意された。同じSSD Applianceであっても、それぞれのベンダーが同様のスペック構成とはなっていない。価格もばらばらだ。最新の高性能CPUでストレージ容量も大きい高額な構成もあれば、比較的安価な構成となっているものまでバラエティに富んでいる。
「提供している会社によって製品のデリバリ体制も異なれば、提供できるサービスの内容も違います。結果的には、各社が競争することになると思います」(北川氏)
各ベンダーの特色が出たラインナップとなっており、ユーザーはハードウェア構成を6つの中から選択できる。これが、マイクロソフトのアプライアンス戦略の特長でもある。選択できるということは、ベンダー間で価格競争も起こる。つまり、1社だけで価格コントロールをし、高額化するというリスクもないとのことだ。
「このあたりは、1社だけで提供しているOracle Exadataなどとは異なる戦略です。アプライアンスの形態で提供はするけれど、マイクロソフトとしては垂直統合は嫌っています。なので、これをパワー・オブ・チョイスと呼んでいます」(北川氏)
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谷川 耕一(タニカワ コウイチ)
EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...
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